Aさんは、努力次第で大きく稼げる成功報酬型の不動産会社を目指すことに決めました。面接ではとにかく「やる気と自分を変えたい気持ち」を前面に出し、拙くても自分の言葉で話すことを心がけました。そして希望通り、不動産会社の採用を見事に勝ち取りました。

さて、入社後のAさんは果たしてどうなったか。

寝る間も惜しんで努力を重ね、入社3カ月で宅建の資格を取得。たった1カ月で120万円ものインセンティブを稼ぎ出し、1年後には慶應卒のBさんより年収が500万円も上回っていました。しかもご高齢のお客様から「アパートを相続してほしい」、つまり譲渡したいと言われるほど、信用されるビジネスパーソンに成長していたんです。

Aさんがなぜここまで稼ぐ力をつけられたのでしょうか。それは、自走できる点、人に対して真っ直ぐな点、そして意を決して不要なものを断ったことにあると考えています。

おそらく入社当時のAさんは、エリート営業マンに比べれば、明らかに会話も拙く、知識も少なかったと思います。でもそれを補うために、どうすればお客様が喜ぶか自分なりに考え、必死に努力しました。

わかりやすい比較で言うと、Bさんは決められた時間内で言われたことをきっちりやり遂げる真面目タイプ、Aさんは時間も忘れて自分で考え、努力し、ひたすら真っ直ぐ行動するタイプです。

商売も最終的には「人対人」ですので、Aさんなりのやり方で顧客を大切にする姿を信用してくれたのだと思います。

ステップアップ転職のコツとは

じゃあBさんは努力不足なのかと言うと、決してそうではありません。Bさんは慶應に入り、大手企業へ就職するために、Aさんより早い時期から頑張ってきました。大切なのは学歴でも資格でもなく、知的好奇心を持ち、学び、自分の頭で考え、意見と責任を持つことです。

Fランは入学した時点で人生が見えている、ということも絶対にありません。決断したときから、人は誰しも生まれ変われます。これは、毎日50~100人の就活者と会い、送りだしている私の実感です。

転職は、人生をチューニングする機会として活用していただきたいです。

どんな将来を築きたいか、何を軸にライフワークバランスを整えたいか、生きたい人生に向けてチューニングできるのが転職だと思っています。

今の転職市場は、サラリーアップのためではなく時間を有効活用する環境に変える目的の人が増えています。現状から10年後の自分を想像したものが理想と違うのなら、そこに近づくためのチューニングとして転職するのもいいでしょう。

(構成=力武亜矢)
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