地方の宿泊施設ではキャンセル料が発生

1つ目の死角はキャンセル料です。大手航空会社や大手旅行会社の多くは、GWの旅行に関しては特例的にキャンセル料を取らないという対応をしています。一方で、地方のホテルのように新型コロナで大打撃を受けている宿泊施設では、通常通りのキャンセル料を請求せざるを得ないところも多いようです。

実は私もGWに軽井沢への旅行を予定していました。自家用車で関越自動車道を経由して現地に向かうつもりでホテルだけ押さえていたのです。予約した時点では当然のようにいいホテルはGWの割高料金で、宿泊先を探すのにそれなりに苦労もしました。

その予約をキャンセルしたのは3月14日だったのですが、その時点でのGWの新型コロナの見通しはまだ不透明でした。ギリギリまで待って、という考え方も「あり」の時期ではありました。しかし私自身の経済予測でコロナ自粛は長期化することを織り込んでいたこともあり、かなり早めに旅行中止を決めたのです。

旅行客7割減でも、700万人が日本列島を行き来する

もし私がそこでキャンセルを決めていなければどうなっていたか。政府の態度は、3月中旬まで「新型コロナはまだ日本ではたいした広がりを見せていない」というものでした。思い出してください。この時点まではなんとしても7月のオリンピックを開催したかったので誰もそんなことを言い出せなかったのです。

空気が一変したのは3月24日にオリンピックの延期が正式に決まって、その直後に感染者数が急増してからです。3月末ごろには緊急事態宣言の発令がなされるべきだという声も多かったのですが、そこで政府がなかなか決断をしなかった。結局、緊急事態宣言を発令する意向を固めたのは4月6日でしたが、その段階でGWまで30日を切っていました。キャンセル料の発生期間に入ってしまったわけです。

そのためホテルを予約した側からすれば「多額のキャンセル料がかかるのであれば、旅行に出かけたい」という気持ちが働くようになります。国や自治体としてもキャンセルの強制や補償が難しい。おそらく例年と比べて6~7割近く旅行客は減ると思います。それでも一定規模の人数が予定通りGW中に、地方の観光地に移動することになるでしょう。

JTBの調べによると一昨年のGWの国内旅行人数は2375万人でした。つまり旅行客が7割減ったとしても実数としては700万人以上が日本列島を行き来することになる。ここが1つ目のリスクです。