配当利回り70%は本当によい会社か
株が値下がりしているのだから、大きな意味では買い時ではある。しかし、投資のモノサシとして、本当に必要な情報が少ないために、思わぬリスクを抱え込んでしまうこともある。
「例えば、配当利回りを見ると70%を超えている会社もある。株価が大幅に下がった半面、配当が減っていないので利回りが大きくなるんですね。株価が大幅に安くなったのには理由があり、大きなリスクが存在しているのですが、それを知らない人はものすごい配当が出るから買ってみようとなってしまう。やはり、きちんと情報が提供され、誰もがリスクを判断できる場が必要で、そのための場としてインターネットは最適だということです」
西野氏は慶應義塾大学理工学部での研究業績が認められ、博士号を飛び級2年で取得した。20代で会社を興したが、会計に詳しいわけでもなく、バランスシートも読めなかったという。経営者なら誰でも知っているのかと思ったが、周囲に話を聞くと、意外に知らない人が多い。特に中小企業経営者に顕著だったという。
「もともとは中小企業の経営者のみなさんに、税理士さんがつくった決算書を理解できるようにしたいというところからスタートしているんです。しかし、中小企業の決算書は公になっていない。そこで、公になっている上場企業のデータを利用しました。加えて、上場企業はどうやって安定した経営をしているのかも知りたかった」
このサイト(ユーレット(Ullet))にある財務分析などの情報は、株式投資以外にも十分に活用できる。例えば、仕事にも使える。取引先の情報を取得したり、競合他社を分析することで会議やプレゼンの資料にすることもできるだろう。あるいは、営業するための資料にもなる。
「サイトで誰でも見られる情報については、ある上場企業を訪問する際に、その会社がどんな経営状況にあるかを3分程度で理解できれば理想だというところから始まったんです。当然、財務内容がわからないといけない。次に、大株主や社長、役員、社員の平均年収などは誰もが興味を持っている。新しい製品は何か、良い悪いは別として、ネットの中でどのような評価を受けているかをさまざまなブログでチェックしたい。そうしたものをどんどん加味していって、現在のかたちに落ち着いたわけです」