なぜ、テレワークでコロナ鬱になってしまうのか

(3)規則正しい生活をして、できるだけ体を動かす

「外出の自粛やテレワークなどにより、多くの人は運動量が減っています。特に若い世代は会社や学校に行くという習慣がなくなり、日中はソファで眠って夕方に目を覚ますなどと生活が乱れがちです。自堕落な生活による健康被害は、『コロナうつ』よりも深刻になります。体力が失われ免疫力が低下すれば、コロナどころか風邪にもインフルエンザにもかかりやすい体になってしまいます。その上、うつにもなりやすくなってしまうのです」
「運動習慣のある人とない人とで比較すると、運動習慣のない人のほうが圧倒的にうつになりやすいことがわかっています。朝、太陽の光を浴び、日中は活動する。3食とも健康的な食事をし、間食は控える。夜はお風呂に入り清潔を保ち、ゆっくりと休む。この『当たり前』な生活こそが、コロナへの感染確率を下げると同時に、『コロナうつ』から(健康な)心を守ります」

(4)明るい未来を予測する

「コロナウイルスの感染拡大が深刻ですが、いつかは必ず収束します。『アフターコロナ』に、自分は何がしたいのか、どう生きていきたいのか、小さな頃に抱いた夢や希望はなんであったのか、改めて思い出してみるのもいいでしょう」
「悲観的になりすぎず、明るい未来を予測することも『コロナうつ』を予防し、乗り越える秘訣となります。世の中全体が悲観的になっている状況だからこそ、個人の夢や希望を持つことが、それに巻き込まれないためのポイントとなります」

2020年とその後の日付は、長いまっすぐな田舎道に描かれました
写真=iStock.com/DNY59
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(5)感謝の気持ちをもつ

「コロナへの不安を述べる精神科の患者さんの中で、ごく少数ですが、非常に安定した心理状態を維持している方もいます。彼らの共通点は感謝の気持ちを外来で話していることです。『先生もこんな状況なのに診察してくれてありがとう』『先生が頑張るなら私も頑張るよ』『先生もコロナにならないように気をつけて』『また来月会えるのを楽しみにしているよ』。健常者に比べて、気分が不安定になるリスクが高いにもかかわらず、みな一様に元気なのです」
「精神的に安定しているから気持ちに余裕が生まれ、感謝の言葉を話す。もしくは感謝の気持ちを伝えることで気持ちに余裕が生まれる。おそらく両方の作用があるとみています」

以上が、鹿目医師のアドバイスである。