中国系政治家が登場するのも時間の問題

中国がイタリアの何を政治的に欲しがっているのかは、判然としない。イタリアはオーストラリアやカナダのような資源国ではないし、両国のように中国系の政治家が(今のところは)いるわけでもない。

ローマ・フィウミチーノ空港にて、隣の人と1m以上距離をとることを推奨する注意書き(3月21日)
写真提供=新津隆夫氏
ローマ・フィウミチーノ空港にて、隣の人と1m以上距離をとることを推奨する注意書き(3月21日)

しかし、現在のイタリア政治の鍵を握る市民政党「5つ星運動」の党首ベッペ・グリッロは、自身のブログでも中国びいきを隠すことはない。現在の外務大臣、ルイージ・ディ・マイオも、この5つ星運動の所属議員である。中国系移民がイタリア社会の中で存在感を増すなか、五つ星運動から中国系イタリア人の立候補者が出てくるのも時間の問題だろう。

ミラノの中心部では、イタリアの文化を象徴するバール(“bar”、立ち飲みコーヒースタンド形式のカフェ)の多くが中国人家族の経営となっている。イタリアで教育を受けて育った若い中国人店員が、地元の常連客とネイディブなイタリア語でコミュニケーションを取る光景も、いまや珍しくない。携帯電話の修理店や格安の美容室、すし店から性感マッサージまで、中国人経営の店はイタリアの日常生活にどんどん浸透している。

イタリアにおける中国の「静かなる侵略」は、これからが本番なのかもしれない。

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