米国債を売って距離を置きたいワケ

2019年の金価格は平均で前年比9.8%上昇したが、それでもロシアと中国は金保有高を増やしている。それだけ、金を保有したい理由があるのだろう。

両国は米国債の保有を減らしているが、この行為は米国との金融面の関係を断ち切ろうとしているように見える。しかし、米国から厳しい制裁を受ける両国が、基軸通貨であるドルを発行できる米国と距離を置こうとするのは当然であろう。

その一方で、米財務省が発表した1月の国際資本収支統計によると、国別の米国債保有残高で2位の中国の保有額は、前月比87億ドル増の1兆786億ドルとなっている。中国の保有額が7カ月ぶりに前月比で増加に転じたことは興味深い。

中国は、米国から関税による制裁を受けており、それにより経済が疲弊している。米国に自国の経済を揺さぶられるのは、世界一の大国になる野望を抱く中国からすれば許せない行為であろう。ドルという基軸通貨を利用して揺さぶられれば、さらに困ることになる。

そのような事態を避けるためにも一定額の米国債を保有しながら、中国が逆に米国を揺さぶることができるように、万が一のために外貨準備高も一定額を保有しつつ金保有を増やしているといえる。

中国の外貨準備高と人民元の対米ドルの推移

世界最大の金生産国は「中国」

ちなみに、世界最大の金生産国は中国である。中国政府は、国内で生産された金を国外に出すことなく、国内向けに回す一方、国家の資産として買い入れている。つまり、中国国内で生産される金は基本的に表に出てこないことになる。

中国は世界一の金の消費国でもある。2019年の消費量は898トンと、2018年の1058トンから急減したが、これも金価格の高騰が背景にあるものと思われる。しかし、それでも世界一の消費国の座は明け渡していない。ちなみに、世界第2位はインドの848トンで、3位はロシアの690トンである。