過去最大となる観光産業の減速

過去30年で見ても、京都の観光産業は3度にわたり大幅な減少局面を経験してきた。最初は1995(平成7)年の阪神・淡路大震災、2度目は2009(平成21)年に京都で新型インフルエンザが発生したことと、リーマン・ショック(2008年)を受けての世界的景気低迷だ。そして3度目は、2011(平成23)年の東日本大震災である。

京都市は、2008年には初めて観光客5021万人を達成し、宿泊客も過去最高の1306万人を記録した。しかし翌2009年、観光客は4690万人へと330万人減、宿泊客は1231万人と80万人減となった。2010年には再び宿泊者を1300万人台に戻したものの、2011年の東日本大震災でインバウンドが大幅に下振れして、宿泊客は1087万人と200万人以上減少した。

いずれも1割程度のダウンで済んだが、今回は間違いなくそれを大きく上回る。

東日本大震災の時は海外需要が下がったが、国内観光客はそれほど落ち込まなかったし、鳥インフルエンザの時も比較的早期に収束した。しかし、今回は局地的な問題でなく、世界的な観光客の減少によるもので、リカバリーできるパイがない。その影響は、戦後過去最大級の落ち込みになる可能性が高い(そもそも昭和の時代は今ほど観光産業が大きくはなかったが)。

京都の「観光依存」が被害を拡大する

とくに日本のインバウンドは、中国人観光客への依存が高まっており、戻るまで相当な時間を要するとみるべきだ。飲食関係などは自粛ムード全面解禁となれば戻りは早いだろうが、旅行の場合(とくに海外旅行は)、予定を決めてから行動するまでのタイムラグが長くあり、その分だけ回復に時間がかかる。

ホテルはもちろん、リネン業者、飲食店、土産物製造業者に至るまで、裾野の広い観光産業が受けるコロナショックの影響は大きい。資金繰り支援措置や緊急融資による対策が矢継ぎ早に打ち出されているものの、それにも限界がある。

改めて、観光産業に対する過度の依存に警鐘を鳴らしつつ、投資と同じで、都市の産業構造はいくつかの分野に分散して誘致誘導すべきことを付け加えておきたい。