宇宙ステーションのように互いのテントをドッキングさせた空間で、ハンドルネームで呼び合いながら、iPhone片手にツイッターでつぶやく。この夏のキャンプ場では、そんな、アウトドアらしからぬ風景が増えるかもしれない。

デカゴンは10角形の意味。スペースベースなど、全5アイテムのシリーズがある。

デカゴンは10角形の意味。スペースベースなど、全5アイテムのシリーズがある。

キャンプの世界では2、3年前から、20人、30人と大人数、それも広域から集まって、キャンプ場で初めて顔を合わすというグループが目に付くようになった。インターネットのSNSやブログで知り合った仲間がオフ会キャンプを行うケースが増えたからだ。

そのトレンドをとらえた商品が、アウトドア用品メーカー、ロゴスコーポレーションが2010年春から売り出した「デカゴンシリーズ」。幅約6m、高さ約3mの超大型テント「スペースベース」を中心に、クルマ、就寝用テントなどをタープ(屋根状の日除け用品)などでどんどん連結できるシリーズだ。

「災害時の避難利用も意識した大型テントとしてスペースベースだけを発売したところ、これが思いの外、よく売れて。その理由を探る中からオフ会的なニーズに応える商品開発に取り組んだ」と関晋営業企画課長は話す。

子供たちが大暴れして走り回っても、繋がっている空間だから大人の目も届きやすく、家族参加型の会にも重宝するだろう。子供を寝かしつけた後は、大人は中央のスペースベースに集まって交流を深めることもできる。

たくさんのテントをつなげるとなるとたいへんな労力がかかりそうだが、ジョイント部を組み上げるだけでテントが立ち上がる世界特許技術を採用し、手間を省く工夫もちゃんとされている。

ネットはリアルのコミュニケーションの形を変えた。その変化をとらえた商品開発はキャンプに限らずさまざまな分野でできそうだ。