仲介業者の継続性の問題もある。顧客は20~30年にわたる運用を前提に加入しているのに、仲介業者にその気がなく、稼ぐだけ稼いだ時点で、店じまいする恐れがある。最初から悪意のある仲介業者だったら、お金を集めるだけ集めて、逃げてしまうケースも考えられる。

顧客から見れば、仲介業者が間にいるからこそファンドの購入、現金化などが可能なのに、肝心の仲介業者が店じまいをしてしまったら、香港のファンド会社とのやり取りに支障を来す。日本人スタッフがほとんどいないと思われる相手との交渉を、自分自身で直接行うのは、非常に難しい。最悪、香港から資金を引き出すことができなくなってしまう。

香港のファンド会社が破綻した場合も、資金回収は難しい。まともな仲介業者なら、資金回収に奔走してくれるだろうが、それでも手続きには、相当の手間と時間を必要とする。

もちろん、すべての仲介業者が悪意を持っているわけではない。ただ、日本の金融商品取引法上、金融商品を取り扱う業者は、原則として管轄の財務局に金融商品取引業者として登録する必要がある。

冒頭で事例として挙げた税理士法人は、この登録を行っていない。また、香港のファンド会社が、無登録のまま日本国内で広く募集活動を行う場合は、登録済みの金融商品取引業者が、その仲介をするというのが原則だ。

日本の仲介業者から「誰でも簡単に香港に口座を開設できますよ」などと勧誘されたときは、その仲介業者が金融商品取引業者として登録されているかどうかをチェックすること。それがない場合は、慎重に対応したほうがよいだろう。