管理栄養士の望月理恵子さん
管理栄養士の望月理恵子さん

管理栄養士の望月理恵子さんによると、「カカオ70%以上のチョコを1日25グラム程度摂取するのがお勧め」とのこと。カカオ濃度が上がれば糖質量が少なく、ポリフェノールが多くなる。

カカオマスには便秘予防と解消、また結腸がん予防効果がある不溶性食物繊維もたっぷり。“ベジファースト”ならぬ、“チョコファースト”もいいという。

「高カカオチョコレートは食物繊維が多い。カカオ70%以上のチョコレートは30グラムで、日本人が不足している食物繊維5グラムを補えます。低GI(GI=食後血糖値の上昇度)なので食事の前にひとかけ食べてからランチに行くのも良いと思います。特に食事の30分前に食物繊維をとっておくと、その後の食事による血糖値急上昇を抑えられるので、サラダを食べるより現実的に手軽にできる方法ですよね」(同)

高血圧、動脈硬化の予防効果も期待できる

カカオによる高血圧予防効果も期待される。オランダの研究で慢性疾患を持っていない470人の高齢者について、血圧を測定し、5年後と比較すると、1日2.3グラム以上のカカオを摂取している群は、最もカカオ摂取が少ない群(1日0.36グラム以下)と比べて収縮期・拡張期ともに血圧が低下した。中年のドイツ人約2万人近くを約8年間調査した結果でも、血圧が下降する傾向が見られる。

また、チョコレート摂取によって、糖尿病患者であっても善玉コレステロールが上昇するなど血中の脂質改善報告が多くある。体内に摂取、蓄積された悪玉LDLコレステロールの酸化も抑制し、動脈硬化などを予防する働きも期待できるのだ。

集中力・記憶力・思考力を高め、やる気を導く

体だけでなく、チョコレートは“心”にも影響を与える。

カカオに含まれるテオブロミンという成分には集中力・記憶力・思考力を高め、やる気を導く働きがある。1枚5グラムのチョコを1日5枚、1カ月間摂取すると、酸化ストレスが低下し、記憶や学習などの認知機能と関連するBDNF(神経細胞の発生や成長などを促進させる神経栄養因子)に良い影響があるという報告がある。

ほかにも注目成分は、天然アミノ酸の一つの「GABA(ギャバ)」やマグネシウム。「“幸せホルモン”といわれるセロトニン材料のトリプトファンが含まれ、更年期に起きがちなだるさ、ストレスなど、つらい症状の軽減が期待できます」(同)

欧州14カ国の調査ではチョコレート摂取量の多い国では殺人が少ないという報告もある。カカオマスに向精神作用を持つ物質が含まれているためという。

「チョコ+ビスケット」組み合わせは避けるべき

チョコに含まれる糖分も脳へのエネルギー補給になるため、眠気を改善し、意欲的になれる面がある。カカオポリフェノールを摂取すると、2時間後に血中濃度がピークになり、その後徐々に体外へ排出され、24時間後にはほとんどなくなることが知られている。そのため1日数回に分けてチョコを取りたい。

さてここで同じチョコでも、避けたほうがいいのはチョコ+ビスケットのようなお菓子や、カカオ含有量の低いチョコだ。

「ビスケットはカロリーが高く、糖化しているのでお勧めできません。糖化とは高加熱によってタンパク質と糖質が結びついて劣化する反応で、AGEという悪玉物質が発生し、老化の原因に……。こんがりした食品に多く含まれ、その観点からスポンジケーキもNG。ティラミスのような低加熱ものがベターです。ホワイトチョコにもカカオの良い成分が含まれず、美容健康効果が劣ります」(同)