謝罪文なのに「独り身になるつもりでいるといわれた」と釈明

報道後に鈴木杏樹と喜多村緑郎が謝罪文を出した。鈴木は、昨年10月に舞台で共演して食事をするようになり、「今年に入って、お相手から独り身になるつもりでいるというお話があり」付き合うようになった。「しかし、まだお別れが成立していない現状、今回の軽率な行動を真摯に反省」する。

喜多村は、報道されている内容は事実だと認め、「未熟さゆえに、妻、妻のご家族……」、最後に「鈴木さんご本人」に多大なご迷惑をおかけしたと詫びている。

突っ込みどころが満載の詫び文である。

鈴木は、相手が離婚するといったのを信じてSEXしたのだから、悪いのはあいつの方だと、50歳にもなる大人が責任を押し付けるとは情けない。ワイドショーで、街頭インタビューされた若い女性が、「どんな形であれ、これってダメじゃん」と切り捨てていたが、多くの人が、鈴木に厳しかったのは当然である。

喜多村は、妻とは離婚すると偽って鈴木を口説いたのか、説明責任を果たすべきだろう。

現在の民法下では、夫婦関係が破綻した後に不倫が始まった場合は、夫婦間及び不倫相手に対する慰謝料支払いの義務は発生しない。ついでにいえば、不倫の時効は、不倫をした時から20年、あるいは不倫相手が判明した時から3年の、いずれか短い方である。

夫の不倫相手が独身女性ならば、彼の妻が訴えても、せいぜい慰謝料は100万円程度。だが、お互いが有名人であった場合は、失う仕事や、仕事先への賠償金など、計り知れないほどの損害を被ることになる。

2人に1人は不倫する遺伝子を持っている

ところで、人はなぜ、発覚すれば地位も家庭も仕事も失うかもしれない不倫に走るのだろう。

ちなみに、不倫という言葉が使われるようになったのは、比較的最近で、1983年にTBSのテレビドラマ「金曜日の妻たちへ」が爆発的にヒットして、既婚者の婚外恋愛やSEXを表す「不倫」という言葉が定着したといわれている。

「単婚」という言葉を初めて用いたアメリカの人類学者G・P・マードックによれば、世界に238ある人間社会のうち、単婚しか許されていない社会はわずか43だという。

2009年にプレジデントが行った調査によると、全国の40代~60代の男女のうち、夫の34.6%、妻の6%に「婚外交渉」の経験があったと、『はじめての不倫学』(光文社新書)の著者である坂爪真吾が書いている。

また脳科学者の中野信子は私に、2人に1人は不倫をする遺伝子を持っていると話してくれた。

「アルギニンバソプレシンという脳内物質を受け取るための受容遺伝子というのがあります。この遺伝子が強く現れる人は、パートナーに対する思いやりの気持ちが生じにくく、不倫率が上がることが分かってきています。

いまだに人口の5割の人間にこうした遺伝子が残っているというのは、人類が生き残り繁栄するためには、不特定多数のパートナーと性交をしたほうが有利だったのでしょう。ですから、不倫は悪いことと思いがちですが、この倫理観は後から人間社会で生じてきたものだと考えられます。

私たちは、もともと一夫一婦制の結婚に向いていないタイプが人口の半数程度いるという事実を受け止めたうえで、そこから物事を考えなくてはならないのです」