国産野菜が勝てる理由が見つからない

フランス産やイタリア産と聞けば、まず響きだけでおしゃれな感じがするだろう。しかも、それらは農薬の量が日本よりもずっと少ない。日本の3分の1から20分の1しかない。

そして日本の物よりずっと安い。おいしさはほぼ変わらない。となると、みなさんはどちらを選ぶだろうか。「おいしいけど、値段が高くて、農薬が多い国産野菜」か、あるいは「おいしくて、値段が安くて、農薬が少ないヨーロッパ産野菜」か。

勝負は見えているだろう。正直、日本の野菜が勝てる理由が見つからない。消費者はともかく、外食(レストランなど)や中食(お弁当屋さんなど)産業は、ヨーロッパ産に飛びつくだろう。実際、すでにいくつかのファミレスは、そういう動きを見せている。

「イタリア産のポルチーニ茸を使ったパスタ」とか「ドイツ産リンゴのジュース」などのメニューをよく目にするようになった。そのメニューを見たとき、「国産じゃないから嫌だ」と思う人はきっと少ないだろう。ヨーロッパから安い野菜・果物が入ってくるようになれば、再びイタリア料理やフランス料理ブームがやってくるかもしれない。

そうなったとき、日本の農家は生き残っていくことができるのだろうか?

日本は時代遅れの「農業後進国」

一昔前までは、ヨーロッパから新鮮野菜を持ってくることは、不可能に近かった。理由は単純で、遠すぎるためだ。だが今は、時代が変わった。収穫が終わった後の処理はポストハーベスト技術と呼ばれるが、これが急速に発達したのだ。今では、チリのような地球の裏側であっても、収穫したばかりの新鮮な野菜・果物を、鮮度そのままに日本のスーパーに並べることが可能になっている。

日本は鎖国をしながら、長いこと眠り続けてきた。その間に、海外の農業は急速に発展し、日本に追いつき、追い越していった。もし日本がこのまま眠り続けるならば、国内の農業は間違いなく滅びるだろう。

その理由は、一言で言えば、日本がすっかり農業後進国になってしまったからだ。たとえば、日本で「最先端農業」と聞けば、多くの人が「農薬をたくさん使う農業のこと」と思うだろう。そしてもし農薬を使うのが嫌だったら、有機農業や自然栽培といった昔ながらの農法に戻るしかない。

つまり「昔ながらの農業」、あるいは「薬漬けの農業」、その二者択一しか今の日本にはない。しかし、そんな考え方は世界ではもう完全に時代遅れだ。