どこに飛んでいくかわからない爆弾大車輪

パンジャンドラムは、1940年代にイギリスが開発した走る爆弾です。敵のトーチカに突っ込ませて爆破する使い捨て兵器でしたが、完成したのは爆薬を詰めた本体を巨大な車輪で挟んだだけのシロモノ。車輪についたロケットモーターの力で、車輪を回して前進するようになっていました。

イラスト=ハマダミノル
1940年代にイギリスが開発した「走る爆弾」、パンジャンドラム。車輪に張り付いている筒状のロケットで動くが……。

さて実験してみると、ロケットの力がバラバラでうまく前進できずに横転したり、それどころか急に向きを変えて味方のいるところに突っ込んだりといっためちゃくちゃな動きをしたため、不採用となりました。この見た目とインパクトから、今日では珍兵器の王様としてよく知られています。

全長600メートルの氷でできた巨大空母

第二次世界大戦中、連合国はドイツの潜水艦Uボートによる攻撃に悩まされており、反撃する方法を探していました。この話を聞きつけたイギリスのジェフリー・N・パイク博士は、とんでもない計画をまとめあげました。氷でできた巨大な航空母艦、通称「氷山空母ハボクック」です。

イラスト=ハマダミノル
第二次大戦中、イギリスのジェフリー・N・パイク博士が構想した「氷山空母ハボクック」。ほぼ人工島。

この空母は全長約600メートルもあり、空母というより人工島に近い性質を持っています。搭載できる航空機の数も150機と桁違いです。そして材料はというと、ほぼ全て氷の塊。パイク博士は氷と木材を混ぜたコンクリートならぬ「パイクリート」を自作して、船に使おうとしていました。氷はいつか溶けてしまいますが、内部に冷却器を大量に追加することで船の形を保ち、もし敵の攻撃で損傷しても、海水を凍らせてくっつければ修理できるので、「絶対に沈まない」というのがこの空母のウリでした。

早速アメリカ、イギリス、カナダの3ヵ国が協力して計画が始まりましたが、試作してみると運用にものすごいお金がかかることがわかり、計画はたった1年で「凍結されて」しまいました。