支持率45%前後で解散し、事態打開を図るのが手口
ここでNHKが定期的に実施している世論調査を見てほしい。2014年1月の内閣支持率は54%だったが、4月は52%、7月は47%、11月には44%に下降している。衆院選直前の12月は47%、その翌月の2015年1月は50%に回復した。
2度目の解散が行われた2017年は、森友・加計学園をめぐる問題が内閣を直撃し、7月の東京都議選で自民党が歴史的大敗。小池百合子都知事が立ち上げた新党「希望の党」の準備が整う前の9月末に衆院を解散し、10月の総選挙で圧勝した。
NHKの世論調査を振り返ると、1月に55%だった内閣支持率は7月に35%にまで急落。その後やや持ち直し、9月は44%だった。衆院選後の11月は46%、12月には49%に回復している。
データが示す通り安倍首相は、内閣支持率が下降局面に入ると、支持率45%前後で衆院を解散し、事態打開を図ってきている。ちなみに最新(12月6~8日実施)のNHK世論調査では、内閣支持率が2ポイント低下して45%、不支持率は2ポイント上昇の37%だった。同じ調査で「桜を見る会」をめぐる首相の説明に納得できない人が7割を超え、不支持の理由に「人柄が信用できない」とした人が5割近くに上ったことを合わせて考えると、ここから先は「解散局面」にあると言える。
なぜ「解散カード」を2度も行使しなかったのか
安倍首相は臨時国会閉幕を受けた9日の記者会見で「今後とも国民の負託に応えていく上で、国民の信を問うべき時がきたと考えれば(衆院解散を)断行することに躊躇はない」と語った。メディアによっては「1月解散」の可能性を示唆したものだと受け止める向きもあるが、首相を間近で取材してきた全国紙の政治部記者たちはこう口をそろえる。
「今年の安倍首相は過去2回の時とは、どうも違う」
その理由を聞くと、アベノミクスの「障害」と延期してきた消費税率10%への引き上げは予定通り実施した一方で、選択肢として握っていた解散カードを2度も行使しなかったことが挙げられるという。