では、いい整形外科をどう見つけるのか。他の医師の選び方が整形外科にはそのまま通用しないのが、難しいところです。私には「外科医は肩書よりも手術実績を参考にすべき」「空いている病院には行かないほうがいい」という持論があります。外科医は経験豊かで手先が器用な医師が名医であって、手術数の多さと腕のよさは関連しやすい。しかし、整形外科医は数多く手術をこなしていても、その成功率はなかなか見えてこない。病院が繁盛しているからといって、腕がいいとはかぎらないのです。

アドバイスとしては、「慎重な整形外科医を選んだほうがいい」ということ。整形外科の手術はリスクが高い。特に年をとったら、全身麻酔で体にかかる負担も大きい。車椅子になるリスクだってあります。靴をはくときに痛みを感じる程度なら、加齢の痛みと折り合いをつけて、だましだましやっていくのもひとつの手段です。

医師に「私だったらやりません」と言われて回避

私自身、ヘルニアや脊柱管狭窄症に悩まされました。後者は30人ぐらいに相談して、手術寸前までいったけれど、ある医師に「私だったらやりません」と言われて回避しました。今も痛みますが、後悔していません。すぐに手術をしようとしない医師は、ひとつの目安になるでしょう。

もしあなたが腰痛や関節痛に悩んでいるなら、必ずしも整形外科を選ぶ必要はないと思います。整形外科は医療行為だから信用できるというのは勝手な考え。指圧や整骨で治ることもあるし、民間療法も試す価値は大いにあります。視野を広げて、選択肢の範囲を広げたほうが賢明です。

(構成=鈴木 工)
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