一方、この不況にビクともしないセレブ妻もいる。「セレブ妻座談会」(http://president.jp/articles/-/65)に登場したミユキさん(30代半ば)は、IT企業を経営する夫の勧めで2年前に自らも会社を興した。託児所つきのヨガ教室だが、経営が拡大して登録インストラクター100名を抱えるほどの会社に成長。夫の会社は3割ほど売り上げが落ちたが、やはり、妻の別会社で収入があるのは心強い。

「結婚を決めた20代の頃、主人は起業家志望の無職だった。お弁当を持って、公園でデートしてました」(ミユキさん)。

結局、不況に強いのはこんな妻なのだろう。夫がリッチになる前に知り合って結婚した夫婦なら、危機にも動じない。

前述のササキ氏の妻も、高校時代の同級生だ。バブル時は転職するたび夫の年収が倍々ゲームで増えていったが、昨年リストラにあったときも「いつかは来る日」と覚悟していたという。

「子供の学資は確保してあるので、夫婦の老後ぐらい何とでもなると思います」

幸いササキ氏は、年収を3割ほど落として再就職できた。しかし、半年ほど働かない時期があり、そのときは妻も「卵を赤から白に変えた」という。高額な習い事をすべてやめ、デパ地下ではなく近所のスーパーに行くようになった。

「生活を変えるいい機会でしたね。以前は、ケースで100万くらいのワインを買って週3回くらいホームパーティをしていましたが、全部やめました」

ササキ家は、年1回の家族旅行もいつもエコノミークラスで飛んでいる。

100年に一度という乱世において、破綻する夫婦としない夫婦の境目は平時の生活にある。収入が増えても生活レベルを拡大しないこと。生活水準の要求が低い妻や稼ぐ力がある妻を娶り、夫も普段から生活を引き締めて余剰資金を確保しておくこと。こんな時代、夫婦の破綻リスクをきちんと管理することも大切な生活防衛のうちなのだ。 (文中仮名)

(尾関裕士=撮影)