気がつけば、ファン2000人超え

運営側のいわば「自己満足」のために開催されている麹町アカデミアではあるが、開始からまる6年が経ったいま、メルマガ購読者は2000人を超えている。

「できれば毎日でもやりたい」と語る麹町アカデミア学頭の秋山進さん

「増やそうと思ったことはないんですけど、勝手に増えていってます」

毎回の参加者は、現在は会場のキャパシティ上、40人前後。はじめた頃は20人程度、その後会場が大きくなって80人くらいになったこともあったが「いまが場所の雰囲気もキャパも最高です。一つの学級みたいな感じで講師の先生もお話ししやすいようです」と事務局の山仲さん。

講義のテーマや講師によって参加者の属性はガラリと変わる。これまでに約180回の開催で、参加のべ人数は5000人を超えた。リピーターも多いが、時によっては半分以上が「初参加」ということもある。

麹町アカデミアに集まる人たちは、どんなところに魅力を感じているのだろうか。

「面白いから。——それに尽きると思います」

すぐに役に立つ、とか、勉強になるということが目的ではなく、ただ「面白い」。真面目な学びというよりは、遊び。学びながら、自由に遊ぶことができる場所になっている。

麹町アカデミアでは「講義中、必死でメモを取ったりカタカタとパソコンに打ち込んだりしている人をあまり見たことがない」と、秋山さん。印象としては、「ポカーンと聞いている感じ」だという。参加者は講師の話を聞きながら、それぞれ全く別のことを考えているのかもしれない。運営者としてそれはどうなのか?

「いや、それがいいんです!」

「効率」とはまったく別の魅力

「こういうことをすごく学びたい、何かをきっちり習得したいという明確な目的がある場合は、本を読んで勉強した方が効率はいいはずなんです」と、秋山さんは言う。それなのにあえて麹町アカデミアのような「すぐに役立つ」ことを放棄している場に集う人たちは、「やっぱり遊びに来ている、としか言いようがない(笑)」。

秋山さんの言う「遊び」とは、「自由な思考空間の中で、いろいろな思いつきを貯めておくこと」だ。

いますぐなにかを知って満足したいわけではない。それよりも、少し気になっているけどよくわからないことについて、専門家の話を聞いてみる。「なるほど。へえー」と驚いたり、感心したり。それは、すぐに現実の課題に結びついて役立ってくれるものではないが、ひとつの思いつきとして潜在意識の中に漂うことになる。

「自由に漂っていることが大事なんです」

と秋山さん。直接の目的に結びつけない思いつきであるがゆえに、何かの折にそれらがひょいっとつながって、「案外、大きなものに育つ」のだ。