つまりは、ターゲットの客に、彼女が他の客とも親しくしている事実をほのめかすわけだ。効果は絶大だという。
「こういう写メ日記をアップした翌日は、予約がたくさん入ります。俺も負けられないって気になるんでしょうね」
極端な行動を引き起こす
過熱した欲望は、しばしば極端な行動を引き起こす。180分やそれ以上のロングコースを予約し、なるべく長く彼女を独占しようとしたり、体にはいっさい触れず、ふつうの会話だけして帰る客もいるという。
そうすることで、いかに彼女を大切に思っているかをアピールしているつもりらしいのだが、彼女に言わせると、
「ラクだからラッキーとは思いますけど、それでお客さんに好意を持つことはないですね。『あなたといるときだけ素の自分が出せる』とか、リップサービスはしますけど」
自分は特別なんだと勘違いさせ、同時に嫉妬心を煽る。これを繰り返すことによって、客はどんどん彼女にのめり込むようになっていくわけだが、加減を間違えると、取り返しのつかない事態を招くことになる。
「勘違いが極まると、お金をかけずに会おうとしてくるんです。それを無視していたら、ストーカーになってしまうことも珍しくありません」
教えていないはずのツイッターアカウントに交際を迫るメッセージが日に何十件も届いたり、店の外で待ち伏せされたりは日常茶飯事。自宅に年賀状が届いたことまであるという。
「なんで自宅の住所がわかったのか聞いたら『ぼくたちは付き合っているから、なんでも知っているべき。だから興信所に依頼して調べてもらったんだ』と平気で言うんですよ」
ただちにマンションを引っ越し、在籍店も変えたものの、ストーカー行為は終わらなかった。警察が介入したことでつきまといはなくなったが、アカウントを変えてもツイッターには毎日メッセージが届くという。
彼女の身に、いつか惨事が起きぬことを祈るばかりだ。