その中から買いたい会社を選び、サイトを通じてマッチングし、相手企業との具体的な交渉に入る。最終的にデューデリジェンス(買収監査)を経て成約へ、というのが基本的な流れだ。着手金がゼロの仲介も増えてきており、買収が成功した際に成功報酬を支払う仕組みだ。

実際の買収額は数百万円から数千万円、億を超えるものまでさまざまだ。企業の売買は基本的に相対取引なのでゼロ円ということもありうるという。ちなみに、中規模以下の個人M&Aで重要な価格設定(値付け)については、1つの目安とされる数字は、その会社の「純資産+営業利益3年から5年分」だという(絶対ではない)。

会社選びのポイントとして、三戸さんは「自分のやりたいビジネス」だとアドバイスする。

「自分の好きなことをやるというのが基本です。今いる業界ならば詳しいでしょうから、同じ業界内の企業を選ぶのもいいでしょう。あまり難しく考えすぎないことです。会社を買って上場させなければいけないというわけではありません。もちろん上場を目指してもいいのですが、まずはできる範囲で経営すればいいのです」

20年前は転職に対して多くの人が不安を感じていた

とはいえ、会社を買うというのはリスクを伴う。事業内容や経営状態など会社側の申告通りなのか入念な調査が必要だ。そのときに大事なのが基本的な会計知識だ。前掲書の続編『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編』には、だまされない数字の見方や危ない会社の見抜き方、儲かる会社の見つけ方などが詳しく解説されているので一読していただきたい。

「もちろん会社を買うというのは投資だから失敗のリスクもあります。しかし、仮に会社員時代よりも収入が減ったとしても、事業というのはお金だけではないと思っています。私が提唱しているのは、生き方です。会社を買うというのは目的ではなく、資本家になるための1つのオプションです。個人M&Aはツールにすぎません。単に儲かるか儲からないかではありません。

たとえば、20年前は転職に対して多くの人が不安を感じていましたが、いまでは普通になっています。ベンチャー企業に転職して年収が下がったとしても、ものすごく面白くてやりがいがあればそれは意味があります。個人で中小企業を買うことも今後は転職と同じになると思っています」

なお、買った会社が倒産したとしても、今は会社の借入金について個人保証なしで会社を買えることもあり、株主が責任を負うのは会社を買った株式の金額だけだという。300万円で買ったならば、300万円を失うだけですむ。一家離散のような心配は無用だという。

三戸政和(みと・まさかず)
1978年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。11年兵庫県議会議員に当選。16年より現職。主な著書に『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』『資本家マインドセット』。
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