自分の子どもが後継者に向いているか否か、客観的に見極めた経営者も多くいます。代表的な人が本田宗一郎氏でしょう。HONDAを一代でつくり上げたものの、「会社は個人の持ち物ではない」と、子どもに継がせない決断をした経営者です。ファーストリテイリングの柳井正氏も、役員にはするが社長にはしない、と言っています。大事なのは、親が子どもの適性を見極めることです。
私が好きな野球界で例えると、長嶋茂雄氏の息子、一茂氏はうまく芸能界へ転身されたなと思います。ご自身がテレビ番組等で話していらっしゃいますが、おおよそ治郎八のような暮らしをしていたそうです。彼は、親ほどの功績を残すことなく球界を引退しましたが、現在はその育った環境を武器に、芸能界で活躍していらっしゃいます。
ほかに、落合博満氏の息子、福嗣氏も若いころは野球をやっていたようですが、現在は声優で活躍されているみたいですしね。
令和時代の億万長者、学歴は関係ない
数十億~数百億単位の財を持つ人に共通していることは、親も自分も、決していい大学の出身ではない、ということです。例えばZOZOを創業した前澤友作氏は、高卒です。令和の時代、お金持ちになるのに、大学は関係ないのです。
名門校を卒業し、一流企業に入って社長になったとしても、そこそこの金持ちにすぎません。せいぜい年収1億~2億円です。そんなレベルじゃない本当の金持ちは、自分で事業を起こし、成功しなければなれないのです。
ただし、大富豪とまではいかなくても、“ある程度”の金持ちで十分というのであれば、一流大学を出るほうが当然有利になります。ビジネスで成功した人を多く輩出しているのは、慶應義塾大学と早稲田大学です。一流企業で定年まで働けば、日本人の平均以上の収入を得ることができます。親も、子どもの経験値を増やすためなら、習い事に月10万円程度なら喜んで出します。多くの経験をした子どもは、それだけ才能を見つけ出す機会に恵まれます。
巨万の富を築く人は、大きく2つのタイプに分かれます。まずは、ソフトバンクの孫正義氏のように、幼少期に差別や貧乏などで苦労したタイプ。彼は韓国系の人で、差別を受けて育ったそうで、これがバネになった可能性はあります。
もう1つのケースとしては、商才があり、学歴に関係なく、自身の才能で起業するタイプ。前述の前澤氏が挙げられます。また学歴だけでは思うようなビッグビジネスができないと悟って起業した人もいます。例えば堀江貴文氏はこちらのタイプです。
東京大学や京都大学は、学問レベルは日本のトップですが、財を成したり、コネクションを築くのが得意かというと、それはまた別の話になります。
これらのことから、金持ちはDNA的な遺伝というより、育ち方、育て方によるところが大きいと言えます。子に金持ちになる才能があったとしても、甘やかしたり、子どもの適性を見誤ったりすれば、その才能はうまく開花しないでしょう。