▼子ども向け入門書を電子で読むべき理由
新しく何かを学ぶ際の入門として、ジュニア向けの本はおすすめです。その分野のことが簡単にわかりやすく書いてあるので、大人だとあっという間に読めて概要がつかめます。
おすすめを2点挙げると、中川右介『歌舞伎一年生――チケットの買い方から観劇心得まで』(ちくまプリマー新書)。小難しいうんちくではなく、チケットの買い方や席の選び方など、初めての観劇に一歩踏み出すための実用的な知識が学べる本になっています。
次に、南野忠晴『正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法』(岩波ジュニア新書)。表題のパンツのたたみ方をはじめ、「家族とは」「労働とは」など家庭科の基礎を総ざらいできる内容で、生活やライフプランについて改めて学ぶのにうってつけです。
こうしたジュニア向けの入門書も、やはり電子書籍で読むのがおすすめ。「大人がジュニア向けの本を買うのは気恥ずかしい」という方も電子書籍なら抵抗はないはずですし、こうした本は隙間時間にスルスルと読める内容なので、持ち運びが容易な電子書籍と相性がいいからです。
▼びっくり!国会図書館の奇書・珍書
自著『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』(柏書房)で紹介した明治娯楽小説のほとんどは、「国立国会図書館デジタルコレクション」で読むことが可能です。
たとえば、弥次喜多とヴェルヌが悪魔合体した『宗教世界膝栗毛』。日本全国を踏破した弥次喜多が大砲で月旅行へ行こうとしますが、着陸したのは「無闇矢鱈」という名の星。そこの宿屋の亭主をキリストだと思い込んでバトルをけしかけたり、後から追って星に来たアメリカの科学者と低レベルな口喧嘩をしたりと、とりとめのない混沌としたストーリーの連続で物語は終わります。
また、個人的に一番好きなキャラクターが、『探偵実話 閻魔の彦』の主人公である閻魔の彦。無許可営業の売春宿を遊び歩いては、警察に通報するぞと脅して金を巻き上げるという徹底した「クズ男」なんです。
こんなふうに当時の書き手のアグレッシブさを体感できる明治娯楽小説は、純文学にはない人間くささがあって面白いですよ。