不買運動については、東亜日報が個性的な報道をしている。同紙19年8月25日版では誠信女子大学校ソ・ギョンドク教授の分析をもとに「今回の(日本製品)不買運動が過去とは違う8つの理由」という記事を掲載。今回の不買運動は90年代生まれがSNSを通じて「面白おかしく」展開しているため、いつになく長期化する見込みだとしている。また「韓国の不買運動は長くは続かない」というユニクロの発言も“炎上”に一役買ったなど、ネット世代ならではの“反日行動”を考察した。
国会議員はどう捉えているのか。ハンギョレ新聞19年8月31日版では韓日議員連盟会長のカン・チャンイル議員にインタビューしている。カン氏は東京大学で近代日本の右翼浪人の研究で博士号を取得した、韓国随一の日本通だ。
GSOMIA破棄の原因をつくった
カン氏はGSOMIA破棄に踏み切ったのは安倍総理の態度が原因だと指摘。「我々の本心は安倍政権とうまくやっていこうというものだった。しかし北朝鮮の核ミサイル情報もすべて提供し、誠意を尽くしたにもかかわらず安倍総理周辺から韓国の主権を侵害するような発言が相次いだ」と批判する。ただし3カ月後の最終期限までにはあらゆる手を尽くしたいとし「GSOMIA破棄の原因をつくった」日本には何もせず、韓国のみ批判し仲裁しようとしない米国への不信も吐露した。
今回の日韓関係の動きは地球秩序の再編に伴うものであるとの見方を示すものもある。カール・ポランニー社会経済研究所所長のホン・キビン氏は「地球的観点で見た場合、日本は行くところまで行くと決めた」と題したネットメディアのインタビュー(「プレシアン」19年9月2日配信版)の中で、冷戦時代と現在では日韓関係は地政学的観点からの変化が起きていることが前提にあると指摘する。
ホン氏の分析によると、現在の世界では中国の一帯一路戦略とアメリカの包囲網戦略が激突するホルムズ海峡が重要拠点となっており、ペルシャ湾一帯を手中に収めたい中国と、それを牽制したいアメリカにとって日韓は地政学的にそれほど重要ではなくなった。そうした中、日本は従来の日米韓同盟の枠組みを脱し、新たな地位を確立するうえで韓国が不要となった。ホワイト国除外はその皮切りなのだという。
そしてホン氏は「日本は韓国に宣言した。今や両国の関係が変わったのだと。韓国はもはや血盟国家ではないと。こんなときには、既存のルールで行動したり考えたりしても何の意味はない」(原文ママ)と話し、こうした新たな地球秩序のもと、自国の地位を再点検する課題が生じたとしている。
ハンギョレ新聞19年9月1日版では8月31日に東京で開かれた日本の知識人による緊急集会「韓国は『敵』なのか」を取り上げ「日本のマスコミはほとんど報じなかった」と指摘。韓国メディアは安倍政権批判のトーンは強いが、自国の分析も怠っていない印象だ。