収入激減にもかかわらず、食料はすべてデパートで購入

私は家計簿の活用法や買い物の仕方など、由美さんから詳しく話を聞いて、具体的な改善点を探っていきました。

まずわかったことは、家計簿は「つけるだけ」になっているということ。細かいところまできっちりしたい性格なので、詳細に記入するものの、その内容を吟味したり、振り返ったりすることはほとんどなく、集計が合えばそれで満足していたそうです。

そのため、以前と同じようにお金を使い、赤字になってしまっても、どの費目をどのように減らしていけばいいのかが、まったくわからないといいます。

家計簿は記入や集計にどんなに労力をかけても、「つけるだけ」では家計の改善に役立てることはできません。「何にいくら使っているのか」をつかみ、買ったものが「そのときに必要だったか」「必要以上に買いすぎていないか」「この値段でよかったか」を振り返り、「欲しいだけで買ったもの」「たくさん買いすぎたもの」「高いなあと思ったもの」を、次から減らしていくことが大切です。こうして、買うものに優先順位をつける目的で家計簿を見直すと、さまざまな発見があるはずです。

写真=iStock.com/Juan Carlos Hernández Hernández
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由美さんにもこうした視点で家計簿を見直してもらいました。

すると、詳細に記入していたおかげで、「このヨーグルトは特売につられて家にあるのに買ってしまった。今度からは安くてもあるものは買わないようにしますね」など、振り返りが順調に進んでいきました。

そして、買ったものだけでなく、「買っているお店」にも「家計費がかかる理由」があることに気づきました。由美さんは自宅の近所にあるから、「カードのポイント還元率が高いから」といった理由で、食材も、洋服も、日用品もデパートで買っていたのです。

なんと月19万円の支出カットに成功した

スーパー、ドラッグストア、ファストファッションはもちろん、いまはメルカリなどでも安くていいものが買えることをお伝えし、さっそく利用してもらうことにしました。それにより、食費は当初月13万8000円のところを9万円に、また生活日用品を月3万8000円から1万4000円に減額することができました。

通信費は「つながりにくいのでは?」という先入観を捨てて、スマホの契約をキャリアから格安SIMに変更したり(4台で月3万2000円→1万6000円)、小さいときから通っていたものの、受験で続ける時間がなくなった次女のピアノ教室を一時お休みしたり(教育費月4万2000円→3万4000円)、ほとんど乗っていない2台目の車を処分したり(車関係費2万8000円→1万8000円)と、いままで「あたりまえ」と思って続けていたことも、一つひとつ見直してもらいました。

また、食費は月単位の予算では全体像がつかみにくいことから、「週予算」での管理でやってみることにしました。こうした由美さんのチャレンジも含めた改善案を持ち帰ってもらい、家族みんなで「山下家の家計」について、話し合ってもらうことにしました。