史上最悪の対談記事

『週刊SPA!』12月6日号では、

【中沢】例の弁護士さん一家失踪という不可解な事件のことです。これについて、本当のところをお聞かせ願えませんか。オウム真理教をいまの時期、弁護しなきゃならないという義務を感じているものですから(笑い)、その点だけハッキリしていないと、どうも腰のすわりが悪いのです。

【麻原】それについては、私たちのほうこそ、狐につままれたような気分なのです。先日の記者会見で説明しましたように、あの事件についてはオウム真理教はまったく関係がないとしか、言いようがないのですよ。(中略)たとえその人がいなくなったとしても「被害者の会」がなくなることもありません。だとすると、オウム真理教が(そんな事件を)やる意味は、まったく見当たらないのです

【中沢】では“尊師”は“先生”を前に、はっきり否定されるわけですね。

【麻原】はい。もちろん否定します。

【中沢】それなら“弁護士”としても気が楽になりますけどね。くどいようですけど、かりに若い連中が、麻原さんの気づかないところでやっちゃったということも、ないですよね(笑い)。

【麻原】もちろんですよ。

【中沢】管理不行き届きだったりして(笑い)。〉

1歳2カ月の子どもを含む一家3人が行方不明になっている切迫した事態を、この学者はどう受け止めていたのか。私は、これほど愚劣な対談を後にも先にも読んだことがない。

「オウム真理教のどこが悪いのか」

『週刊ポスト』12月8日号は、中沢氏へのインタビューという体裁で、「オウム真理教のどこが悪いのか」というタイトルをつけている。

〈僕が実際に麻原さんに会った印象でも、彼はウソをついている人じゃないと思った。むしろいまの日本で宗教をやっている人の中で、稀にみる素直な人なんじゃないかな。子供みたいというか、恐ろしいほど捨て身な楽天家の印象ですね。〉

〈いま問題になっている横浜の弁護士失跡事件で、もし、万が一、オウム真理教の組織の末端が、家族ごと拉致するというバカな犯罪行為を犯していたとしたら、『困るんだなぁ』と麻原さん本人は無邪気に語ってましたけど、そうなるとオウム・バッシングは正義を得て致命的なものになってしまうでしょうね。これは、僕にとっても日本の社会にとっても非常に残念で、困ったことなんですよねェ。〉

一連の事件で麻原が逮捕されたあと、島田裕巳氏のように過ちを認め、自分なりに総括を行った学者もいる。だが中沢氏には、反省のかけらもないようだ。