近い将来のファーストレディーが決まった?

2人の結婚は、なぜここまで注目されたのか。事前に一切報道されない「サプライズ婚」だったこと。政治とマスコミの世界で誰もが知る有名人カップルだったこと。いろいろあるが、最大の理由は「近い将来総理になる人物」が結婚したからではないか。

産経新聞とFNNが6月16、17両日に行った合同世論調査によると、「9月の自民党総裁選で選出される次期総裁にふさわしい人物」では、小泉進次郎氏が26.9%でトップだった。2位は安倍首相の25.2%、3位は石破茂元幹事長の24.1%だった。この結果をみる限り、国民のなかでは「首相候補」の筆頭にあるといっていいだろう。

通常、政治家は選挙に出る前に家族を持つ。国会で当選を重ねて「首相候補」になる頃には、子どもも大人になっているのが常識だ。一方、進次郎氏は38歳にして立派な「首相候補」だが、これまで独身だった。「首相候補」が結婚するのは日本では極めて珍しいことなのだ。

多くの国民は2人が結婚するというニュースを見て、進次郎氏とクリステルさんが近い将来、2人で政府専用機のタラップを上り、ほほ笑みながら手を振る姿を想像したことだろう。今回の結婚を「将来のファーストレディーが決まった」という意識で受け止めたのだ。

さらに言えば、年明け早々に生まれる予定の子どもが、数十年後に首相の座についているかもしれない。進次郎氏は国会議員としては4世議員。クリステルさんのおなかの中にいる子が5世として政界で活躍する可能性は高いのだ。どちらに似てもビジュアル的には魅力的な政治家になるだろう。

そう考えるとロイヤルファミリーの結婚に近いインパクトがあるのだ。

進次郎氏の入閣「いいと思う」と菅氏

進次郎劇場は、結婚で終わりそうにない。月刊誌『文藝春秋』(9月号)で進次郎氏は菅氏と対談しているが、菅氏の発言が興味深い。

司会のジャーナリスト・田崎史郎氏が、9月の内閣改造、党役員人事を念頭に「進次郎さんはもう閣僚になっていい?」と質問すると、菅氏はすかさず「私はいいと思います」と回答。さらに「次の自民党総裁選で進次郎さんはポスト安倍の有資格者だと思いますか」と聞くと「ええ、私はそう思いますよ。早すぎるということはない」。思いっきり進次郎氏を持ち上げている。

2人が対談した段階の菅氏は、進次郎氏の結婚話を知らなかったようだが、結婚により進次郎氏の「商品価値」は、さらに高まった。安倍氏や菅氏が、人事の目玉として進次郎氏の白羽の矢を立てようとしないほうがおかしい。