と、ここでストーリーの中の会話として私のバックグラウンドを簡潔に話してしまいます。さらに社長とこうやって話ができる関係だということを、これまたストーリーの中でほのめかしていますので、講師の立場としての私の信頼性もそれとなくアピールしています。
ここで重要なポイントがあります。ストーリーを語る前に、“これから○○なストーリーをお話ししたいと思います”、という前置きを置かないことです。あくまでいきなりストーリーに突入するのです。聞き手の注目を7秒で集められること間違いなしです。
「あなたの車はどんな存在?」と直接問いかける
その先のストーリーでは、なぜ社長が、私にこの研修を依頼しようと思ったか、その経緯や社長の意図、会社としての企業目標ゴールなども、さらっと「ストーリー」の一部として話をしてしまいます。
多くの参加者はきっと「ああ、仕事が忙しいのに。研修に参加している時間があれば仕事を片づけたいなあ」と思っているでしょうが、そんなむだな研修が、いきなり「うちの社長と居酒屋で隣り合わせ」というストーリーから始まったら、注目しますよね。
それだけストーリーは人を引きこむ力があるのです。
2.パワフルな質問
参加者にむかって、ハッとするようなパワフルな質問から始める方法です。聞き手にしてみたら、直接問いかけられるので、思わず自問して、話に引きこまれやすくなります。たとえば新車試乗会の場と想定して、こんな質問はどうでしょうか?
「今あなたが乗っている車は、どんな存在ですか? 一緒にワクワクできる家族のような存在ですか? それとも、単なる交通手段としてのツールに過ぎない存在でしょうか?
ワクワクできる車。それが我が社のフラッグシップであるABC車です。今日は皆さんに、ABC車の3つのワクワクをお伝えし、実際にそれを体感していただきます!」
「たったひとつのメッセージ」に導くことが重要
3.驚きの事実
参加者にとっては、あまり知られていないような事実や数字をあげて、興味を引く方法です。たとえば「世界のパン消費量1位は、トルコです」といったような「へえ」な知識はテーマに合っていれば聞き手の関心を引きます。前述の新車試乗会であれば、こんな言い方ができるかもしれません。
「カーディーラーによると、試運転に訪れたお客様の約8割は、エンジンをかける前に、その車への満足度がすでに決まっている、といいます。何がそうさせるんでしょうか? それはドアを閉める音の重厚感だそうです。ABC車は、五感をも満足させてくれる車なんです」
4.引用
格言や著名人のいったフレーズ、あるいは詩などを引用するケースです。ここでは同じく車の例であげてみましょう。
「ABCモーターズの創始者はこう言いました。運転の仕方を見れば、乗っている人の性格がひと目でわかる、と」