ここで注意したいのは、どのオープニング手法を使うのであれ、それが20字に込めた「たったひとつの大事なメッセージ」(ワンビッグメッセージ)につながるものでなければならない、ということです。インパクトを出すためだけに関係のない内容を冒頭に持って来るのでは、効果はありません。
上手な“締め”はつかみとリンクしている
そして締めとなるクロージングでは、いかに聞き手を次の段階へと動かせるか、に集中したいものです。
印象に残るコツとしては、オープニングにリンクさせること。もしオープニングをストーリーで始めたら、その共通の話を続ける。あるいは質問で始めたら同じような質問をしてみると、オープニングとクロージングがうまくリンクします。
最初と最後に同じことを繰り返すことで、聞き手の印象に残るわけです。
ここでは基本の4つのクロージング手法をご紹介します。
1.ストーリー
これは最初に出したストーリーを思い返させるようにして、そこにリンクさせる手法です。
「あのアイリッシュバーで伺った阿部社長の熱いビジョンは、皆さんの想いと重なっています。それを実現できるのはほかでもない、皆さんなのです。営業のあなたです。開発のあなたです。マーケティングのあなたです」
2.引用
オープニングと同じく格言や著名人のフレーズをあげるものですが、ワンビッグメッセージにつながるフレーズを引用するのがポイントです。
「車は、単なる乗り物ではありません。自己表現ができる最大のツールなのです。ABCモーターズの創始者の言葉です。“運転を見ればその人の人格がわかる”。車をこよなく愛するあなたのための車が、ここにあります」
記憶に残るプレゼンの裏には周到な組み立てがある
3.行動喚起
聞き手を次の行動に導くようなクロージングです。たとえば実際に商品に触れてもらう、サインする、会員になるといった具体的な次の行動に促します。
「まずは今日、ここでテストドライブしてみてください。車と一体となって走る喜びをぜひとも感じてみてください」
4.質問
オープニングのパワフルな質問のように、クロージングにも聞き手の心に刺さる質問をするクロージング手法です。たとえば、こんな言い方もできますね。
「あなたは明日も、単なる交通手段としての代わり映えのない車を運転しますか。それとも、自己表現ツールの車でワクワクな毎日を送りますか?」
このクロージングでも、どの手法を使うのであれ、ワンビッグメッセージを強調するものでなければいけません。
さて、ここまででストーリーの組み立て方がわかったかと思います。ここまで習得したあなたなら、プレゼンの裏にある構造が、きっともう見てとれるはずです!