ニュースを読み解く力も上がる

この「思考力」の元になるのが、地理なのです。地理というのは、いろんな科目と結びつけやすい知識を教えてくれる科目です。例えばニュースを聞いていても、地理を知っていれば思考することができる場面は多いです。「トランプ大統領はアメリカ中西部からの支持を得ている」というニュースなら、「アメリカ中西部」には一体何があって、どういう地形で、どんな産業が盛んだったのかを考えることができると思います。

そう考えると、トランプ大統領がなぜ、アメリカ中西部から支持を得ているのかも見えてきます。アメリカ中西部は、昔は自動車産業で栄えた地域でしたが、石油危機以降、燃費のいい日本車のほうが人気になってしまい、車が売れなくなって衰退してしまった地域です。

※編集部註:初出時、「アメリカ北西部」とありましたが、「アメリカ中西部」の間違いです。訂正します。(2019/08/09 16:15)

日本の車を輸入したせいで衰退したということは、自由に貿易を行う「自由貿易主義」を嫌っていて、トランプの提唱する「保護貿易主義」に同調しているのかもしれない……。そんなことを考えることができますよね。こういう、ちょっとしたニュースや普段の身の回りのことを深めて考えることができるようになるのが、地理という科目なのです。

地理は、「身の回りのことを結びつける力」を作る

そして、このような「自分の身の回りのことと繋げて物事を考える姿勢」というのは、2020年入試で重視されているものです。入試改革によって、身の回りのことを題材に、どれくらい考えを深められるかを問う問題が多く出題されると言われており、そしてその傾向というのは実は東大の入試とも合致するものでもあります。東大は70年前から「知識量」ではなく「思考力」を問うということをアドミッションポリシーとして掲げて、それに沿った問題を出題し続けていました。