年齢をものさしにしていると脳の元気がなくなる
われわれは小学校の頃から学年主義を押しつけられてきました。5年生の次は6年生で、次は中学生で、その後は高校に行って……と人生はベルトコンベアのように、年齢とともに一定のスケジュールで動いていくと考えがちです。
しかし年齢をものさしにして物事を考える癖がついてしまうと、他人だけではなく自分も不幸になります。
こんなふうに外から与えられた文脈に素直に適応していると、たとえば55歳くらいになると、「そろそろ会社では終わりのほうだ」、60歳になったら「定年で再雇用だ」「自分の人生は徐々に収束していかなければならない」と考えるようになります。本当はまだ元気なのに、自分から勝手に思い込むと、脳は「そういうものなのかな」とその文脈に適応して、自ら元気をなくしてしまいます。
脳は、外から押しつけられる文脈、固定観念にとらわれやすいものです。
それに素直に従っていると、発揮できる能力を発揮しないで終わってしまうこともあります。
永遠の5歳児として、一日中楽しんで生きていく
僕自身は、現在50代ですが、永遠の5歳児として生きていこうと思っています。僕は朝から晩まで、ずっと「フロー」の中で生きています。「フロー」は、アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、一つひとつの「課題」に最高に集中した心理状態を指します。5歳児は、何をやっても新鮮で、夢中になって、飽きることがない、フローの中で一日中生きている存在と言えます。
フローの中では、時間の経過を感じず、自分の存在を忘れて、その課題と一体化し、最大限に楽しんでいる。そういう状態が一日中続いているというのは、もちろん、一つのことだけをずっとやっているということではありません。一つの課題に疲れてきたら、別の仕事に取りかかったり、走りに行ったり、人に会いに行ったり、何かを食べたりして、一日中どんな課題も、時間を忘れて楽しんでいるという意味です。