【田原】次は新規事業の部署に移って、駐車場のシェアリングサービスをやった。これはどういうサービス?
【橋本】エアビーアンドビーの駐車場版です。たとえば甲子園球場近くの高齢者が免許を返上して車を売り、自家用車の駐車場は空いていたとします。一方、タイガースのファンが試合を見に来たものの、付近のコインパーキングは満車。こういうときにスマホで探して駐車場が借りられるサービスです。やっていたのは「akippa」という大阪のスタートアップで、DeNAが投資をしたために私も大阪に行って立ち上げのサポートをしていました。
【田原】その仕事は面白いかな?
【橋本】やりがいはありましたよ。ゲームは実際に困っている人がいるわけではないですが、駐車場代が無駄になっていたり、停められるところがなくて迂回し続けていたりと、実際に困っている人がいますから。
【田原】次は駐車場からロボットタクシーですね。これはどんな事業?
【橋本】自動運転車を活用したタクシーやバスの運用です。自動運転が普及するまでまだしばらくかかると思いますが、普及してから自動運転のタクシー会社やバス会社をつくるようでは遅い。タクシーをどこにどう配置するとか、どうやって決済するのかとか、いまから準備するための事業です。
完全栄養食のアイデアは、いつ出てきたのですか
【田原】いまの事業である完全栄養食のアイデアは、いつ出てきたのですか。まだ会社にいるころ? それとも辞めてから?
【橋本】ロボットタクシーのころですね。自動運転は地方で実験を始めました。そのとき地元の方々に言われたのは、移動ができれば病気になる人が減るということ。高齢者が入院するのも通院が難しいからで、自動運転が導入されれば、みんなが健康になって社会保障費が減るというのです。さらに、将来はもっと高齢化と健康寿命が社会の需要なテーマになるとも指摘されました。もし自分がそのテーマでビジネスをするなら、何をやりたいのか。そう考えたときに出た答えが、完全栄養食でした。2016年のことです。
【田原】どうして食だったの? 福祉や健康だと、ほかにも選択肢はある。