収納場所が足りない家にもレンタルは向いている
ストックスペースに余裕がないマンションなどに住んでいる場合は、収納場所の確保も頭が痛い問題だ。特に、扇風機や加湿器、暖房器具などのシーズン家電は、1年のうち使う時期が限られている。使わない期間は、ただ収納場所を塞ぐだけのものでしかない。こうした季節家電も、数カ月間だけのレンタルに向いているのではないだろうか。
最近増えてきた洋服のサブスクサービスも、使わない期間が限られているものという点では同じだ。クローゼットがすでに満杯だが、新しい服を着たいという女性に受けている。季節が変われば、これもしまい込まれるだけの存在だからだ。
「レンタルするのは買うより安いから」というのがこれまでの主だった、と最初に述べた。しかし、「安さ」よりも性能の高いものを使いたい、モノの管理の手間をなくしたい、所有するより身軽に暮らしたい、という人にとっては、レンタルには価格以上のメリットがある。
「高品質なもの」を「必要な期間だけ」使う
先ごろ、老後資金に2000万円かかるという報告書が問題になったが、マネー記事ではよく、それより多い3000万円が必要と言われる。車や家電の買い替え費用なども上乗せした金額だ。気が遠くなるような数字だが、年金生活後もサブスクやレンタルを上手に利用すれば、毎月の収入の範囲内で回していけるようになるかもしれない。
家計の健全化を図るためには、毎月発生する固定費は少ないに越したことがない。だからやみくもにレンタル対象を増やすべきではないが、収入が低い若年層や年金収入だけの高齢者層の場合は、家具や家電の購入で貯蓄を大きく減らしてしまうより、月の収支に納まる数千円程度なら利用してもいいのではないか。
これまでレンタルを利用するのは、「めったに使わない特別なモノ」が多かったかもしれないが、これからは「日々使う、生活に欠かせないモノ」にシフトしていくほうがいい。買ったモノを減価償却しながら何年も壊れるまで使うより、機能性が高いモノ・高品質なモノを必要な期間だけ使う方が、暮らしは格段にラクで快適になるからだ。
絶対に欲しいと思うモノは、買って所有しよう。それは自分にとって大事な財産といえるからだ。しかし、生活の中で消耗していくモノは財産や資産にはならない。それならば、快適性にお金を払うと考えるのも合理的ではないだろうか。
消費経済ジャーナリスト
雑誌編集者として20年以上にわたり、『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『ESSE』などのマネー記事を担当。現在は雑誌やWebを中心に生活者目線で執筆中。また、「節約愛好家 激★やす子」のペンネームでも節約アイデアを研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。著者公式サイト→【消費経済リサーチルーム】