一方、会長をはじめとする協会の幹部は、相当の報酬を得ているとみられている。
空手協会はウェブサイトで「正味財産増減計算書」を公開している。それによると、直近の2018年度の役員報酬額は「972万3160円」。空手協会には20人の理事がいるが、そのうち有給の理事が何人いるか聞いたところ、小倉専務理事は「お答えできない」との回答だった。
編集部は重ねて質問したが、「理由も何も、これ以上はお答えできない。詳細は公表していないので」と繰り返すだけだった。
「異論を持つ者を排除しようとしている」
なお、中原氏は高級住宅地で知られる東京都世田谷区尾山台に一戸建てを構えており、文京区の協会総本部までは、運転手付きの黒塗りの乗用車で出勤しているという。プレジデントオンライン編集部が入手した「役員報酬規定 別表」(2012年)には、会長が月100万円、専務理事は同70万円の報酬額が明記されている。
空手協会には3万人を超える会員がいるが、そのうち理事、代議員ら約100人が協会の運営に関わっている。尾方さんは、自分と同じように協会幹部へ不信感を持っている会員は数多くいると断言する。
「残念ながらいまの協会は、中原氏の意向をくんだ人たちが中心になっており、空手に取り組む人たちのことを中心に考えているのか疑問を感じます。異論を持つ者を力で排除しようとし、それが裁判所で違法とされても正そうとしない」
「これでは会員や職員も保身を考えて動けないでしょう。協会の上層部はまったく潔くない。子どもに道徳を説く武道に関わる者としてどうなのかという思いです。悪いことは悪いと認め、責任をとってほしい」
空手は20年東京五輪で正式種目になることが決まっている。世界から注目が集まるなか、大きな役割を果たすべき空手協会で、組織のあり方が根本から問われている。