メール利用者の意識で、非常に興味深い調査結果があります。それは送り手が失敗したと自覚するメールと、受け手が不快に感じるメールにはギャップがあるということです。
具体的には、送り手側の失敗として上位に挙がったのが「添付ファイルの付け忘れ」「誤字・脱字」「件名の付け忘れ」などの機能上のミスに集中しているのに対し、相手が不快感を感じるのは「読みにくい」「言葉遣いが不適切」「開封確認要求」といった、マナーや配慮に欠けたメールが目立ちます。
たとえば開封確認要求付きのメールは、一見便利なようですが、受け手にとってはストレスになり、失礼な印象を与えることが多いようです。重要度の設定も、それを利用するより、本文の最初の2、3行でなぜ重要なのかを簡潔に書いたほうが伝わります。
また機種依存文字やHTMLメールは受け手のパソコン環境によって正しく表示されないことがあります。とくにHTMLメールはウイルスを媒介する危険性があるので送るべきではありません。ファイルを添付するケースは少なくありませんが、その場合は容量を2メガバイトくらいまでに抑えるのが一般的です。
KYメールが改善されにくいのは、メールのよしあしが客観的に評価される場が乏しいということに起因します。電話や接客などと違い、部下のメールを上司がチェックして指導するという職場も少ないですし、受け取ったメールを不快に感じたからといって、それを指摘する人もほとんどいないでしょう。そのため知らず知らずのうちに相手を不快にさせていることもありえます。それがメールの落とし穴なのです。
メールの件数が急増していることも、業務を圧迫する原因にもなっています。それを解消する一つの手だてとして、社内で「TO」「CC」「メーリングリスト」の使い分けをルール化する、ということが挙げられます。
これらを本来のルールにのっとって正しく使い分けている人は意外に少ないものです。とくにCCで受け取ったメールへの対応は個人差が大きく、「一応全部読む」「忙しいときは見ないこともある」、なかには「CCのメールは見る必要がないからすべてそのまま削除している」という人までいます。それだけ受信者の反応に差があるのです。無駄なメールが増えると、その処理に時間がとられる一方で、重要なメールを見落としやすくなる、といった悪影響が懸念されます。
本来は、「TO」は返信が必要なメール、「CC」は確認してほしいメール、というのがルールです。しかし、送信者が内容の違いを吟味することなく「とりあえずCCで送っておけばいいだろう」とCCを濫用しているケースが目立ちます。それが、「CCで送られてくるメールは読まなくても済むものが多い」→「読むのは無駄」という受信者の判断につながってしまいます。
最後に、あなたの「メール力」を知る簡単なポイントがあります。あなたは送ったメールの返事をタイムリーに受け取っているでしょうか。
相手からのメールの返信が遅いと感じることが多いなら、それは相手ではなく、あなたのメールに原因があるのかもしれません。思い当たる節があれば、メールを書いて送信する前に一度じっくり見直して、相手にとって理解しやすく答えやすいメールになっているかチェックしてみてください。
わかりにくいメールを書く人はコミュニケーション力全般が弱いことが往々にしてあるものですが、メールで相手に何を伝えるかを熟慮し、的確に表現する努力を積み重ねれば、それがコミュニケーション力を高める訓練になり、結果的に仕事力もアップするはずです。