犯罪編▼加害者が被害者に、被害者が加害者に
▼盗撮ハンター
盗撮犯の弱みをしゃぶるハイエナ
スマホの普及や撮影機器の小型化を背景に、盗撮が増えている。盗撮は都道府県の迷惑防止条例によって禁止されている。どんな行為が該当するかは、都道府県によって若干異なる。弁護士の佐藤大和氏は次のように解説する。
「基本的に無断で性的興奮を覚える対象を撮影した場合には盗撮に該当する可能性があります。なお、洋服を着ている女性のおしりを撮影しても条例違反になる可能性はあります」
東京都の迷惑防止条例を違反する具体例を撮影場所、撮影対象、禁止行為に分けて整理すると図1のようになる。撮影をしていなくてもカメラを向けたり、設置したりしただけで違反だ。
違反した場合には、図1のような罰が科される。
「実際に盗撮で逮捕された場合、被害者と示談が成立すれば起訴されないことも多いです。示談できなかった場合には、略式起訴になり数十万円の罰金というケースが多いです」
このように盗撮自体が犯罪だが、盗撮した人を狙った犯罪が増えているという。盗撮ハンターだ。
「女性と男性がグルになったり、女性と関係があるふりをして、盗撮した人を脅迫するのです」
グルの手口はこうだ。女性はミニスカートを着用して、エスカレーターなどを往復する。一方で数人の男性が見張り役となり、盗撮者が現れるのを待つ。盗撮を確認すると見張り役の男性たちが近寄り、恐喝する。
時には、携帯を取り上げ、免許証などの提示を求め「この場で100万円支払うのであれば、示談にする」と脅す。盗撮した側は負い目があるので、支払ってしまうケースが多いという。
お金がない場合は、クレジットカードを利用して、新幹線の回数券を買わされるケースもある。それを換金して示談金にするわけだ。
「現金化目的で買ったチケットを換金する行為は、カードの会員規約等の違反や、都道府県の条例違反等になる可能性もあります。そもそも盗撮は決して行ってはならない行為ですが、盗撮ハンターの行為は犯罪です。盗撮ハンターの要求に応じてはいけません」
▼ネットトラブル
#MeTooが名誉毀損に!?
いつでも、どこでも世界中の人とつながるネットの世界。その利便性は誰もが認めるところだが、半面、取り返しのつかない事態を招くこともある。
「特に増えているのは脅迫や名誉毀損に問われるケースです」
たとえば、嫌いなタレント等のツイートにリプライ(返信)する形で「殺してやる」などと書き込み「脅迫」として逮捕されるケースが増えているという。
「“直接脅迫”しているかどうかが重視されますから、相手のアカウントにリプライをすると警察が動きやすいのです」