「SNSのフォロワー数」がキャスティング基準の一つ

その理由は、何と言ってもソフトを「売らなければならない」からです。たとえばアニメ作品の場合、地上波放送や映画の放映期間が終わった後も、DVDやブルーレイ、アニメから派生するキャラクターソングやイベントチケットなど、いろいろな分野で収益を上げることになります。

そしてその稼ぎは、出演した声優の人気にかなり比例します。アニメの制作会議では、声優のSNSのフォロワー数や、以前に出したCDの売上枚数などをキャスティングの基準の一つにしていることもある、という事情が聞こえてきます。そうした背景の中、旬となった声優に集中して仕事が集まるのは当然でしょう。

もちろん同じ声優ばかり起用し続けると、それはそれで厳しいファンたちからは飽きられてしまいかねません。インターネットを通じ、そうした声がハッキリ見えるようになった昨今、ネガティブな評判が募ればそれはそれで死活問題となりますから、少しずつ次世代の声優と入れ替えていくことになります。

そのスパンは、現在の男性声優で7年くらいと言われています。ちなみに今のアニメのキャスティングを見ていると、2000年代前半に一世を風靡した声優たちの入れ替え時期に該当するかも、と個人的に感じています。

女性声優の入れ替えスパンは長くて5年

しかし女性声優の入れ替え時期は平均するともっと短い。長くても5年前後ではないでしょうか。

特に若手の場合、どうしてもタレント性が求められる女性声優だけに、その寿命は短いと言われていました。僕もこれまで多くの女性声優とアニメに出演し、ラジオ番組をしてきましたが、数年一緒に仕事をしていても、出番を終えたらそのまま共演することがなくなった、と感じた経験が多くあります。

20代で毎月のように雑誌の表紙を飾っていた女性声優たちも、だいたい平均すると30代前半に差し掛かったくらいから、もしくは結婚などを境に姿を見かけなくなる場合が多い。最近だと10代から声優活動を始める女性声優が多く、競争も激しくなっていますので、すでにもっと短命になっているかもしれません。