和食の塩分量を増やす「汁物と漬け物」

和食は塩分が高めだと、これまで何度かお伝えしてきました。それは、高塩分の汁物と漬け物が必ずついてくるからです。

では実際にどのくらい高くなるのでしょうか。焼き魚の定食を例に見てみましょう。メインのおかずであるアジの塩焼きに、小鉢、ごはんとみそ汁、漬け物がついた典型的な定食です。この定食の総塩分量は5.1グラム。1食の目安である2.0~3.0グラムを大幅に超えています。

そしてたいていの場合、それだけでは済みません。アジの塩焼きに添えられている大根おろしが曲者です。大根おろし自体に塩分はありませんが、多くの人が大根おろしにはしょうゆをかけるものと思っているのではないでしょうか。

そこでいつものように大根おろしに、しょうゆをかけたとしたら、さらにその分の塩分が加わります。小さじ1杯とすれば、プラス0.9グラムで計6.0グラム。1食だけで1日の目標量の大半を摂取してしまうことになります。

では、塩分を減らすにはどうしたらいいでしょうか。

「チリ積も」方式で少しずつ塩分を減らす

先ほどお話ししたように第一に、あとから調味料を加えないこと。したがって、大根おろしはそのまま食べることです。アジの塩焼き自体に塩味が十分ついていますから、しょうゆをかけずに大根おろしを添えて食べましょう。

そして次は「チリ積も」式で、ちょっとずつ塩分を減らしていくことです。ただ、だからといって、メインのおかずを残すのはあまりおすすめしません。食べたいと思って頼んだものですから、残すとなると食事の満足度は落ちるでしょう。それよりはおかずはしっかりと食べて、そのほかのもので塩分を減らしていくほうが「食べた」という満足感が味わえるからです。

そこでまずカットしたいのが、少量で塩分の多い漬け物です。次はみそ汁。みそ汁を飲まなければ大幅な減塩にはなりますが、それではやはりもの足りなさが残ると思います。ですから、具を食べ、汁の量を半分にするなど調整しましょう。

これで1.5グラムの減塩となり、3.6グラムです。もう一声というところです。そこで小鉢のひじきの煮物を半量残せば、全部で1.8グラムの減塩となり、3.3グラムになります。

このように和定食は、だいたい主菜、副菜、汁物とごはん、漬け物の組み合わせになっています。メインはしっかりと食べる代わりに、ほかを少しずつ減らす。この食べ方に慣れていけば、無理なく減塩できるようになるでしょう。