社会全体で納得できる自動運転のテクノロジーを

2018年には米ライドシェア企業、ウーバー(Uber)テクノロジーズの自動運転車両が死亡事故を起こした。地元警察は人間が運転していたとしても避けるのが難しい事故だったとしている。

問題は、自動運転車両が起こした事故の責任が、システム開発者にあるか、それとも乗車していた人間にあるかだ。この議論は難しく、「自動運転の実現はかなり難しい」と指摘する自動車業界の実務家もいる。

各国は、こうした議論を深めなければならない。それが、社会全体で納得できる自動運転のテクノロジーを生み出し、システムの能力向上につながるだろう。そのためには、より多くの実証実験を行うことが求められる。

実証実験を重ねれば、本当に実用可能な自動運転とは一体どんなものなのかも見えてくる。この考えに基づき、海外ではレベル4以上の自動運転テクノロジーの実証実験が進んでいる。中国では百度、ファーウェイ、ドイツではアウディなどがレベル4の実証実験に取り組んでいる。

日本郵便がレベル4の実証実験に着手済み

レベル4の場合、自動運転システムで走行する範囲が限られるが、非常時に人間の操作が求められることは想定されていない。わが国では、日本郵便がレベル4の実証実験に着手した。そのほか、トヨタやホンダなども自動運転の実験に取り組んでいる。

足元、IT先端企業や物流企業など、多様な企業が、カーシェアリングやコネクテッドカー、EVの開発に取り組んでいる。CASEのコンセプトを実現し、付加価値の創造を目指そうとする民間企業の野心は、今後も高まるだろう。それに伴い、世界の自動車業界では、従来とは異なるプレーヤーを巻き込み、よりダイナミックに変革が進むはずだ。

大規模かつ加速化する変化に対応するためには、“オープン・イノベーション”が大切だ。それは、自前主義ではなく、社外と連携しつつ新しいソフトウエア(考え方、それを実現する仕組み)を生み出し、従来にはない人々の生き方(文化)を創出することだ。