登場人物の表情や文脈から学べる

また、動画を使った学習のもうひとつのメリットは、教科書などの文字で見ているだけではわからないニュアンスまで、登場人物の表情や文脈から学べることだ。

「例えば『ちょっと待って!』と発言をさえぎったりするとき、くだけた状況では“Hang on!”と言ったりします。『待つ』という単語は“wait”しか知らないという人も、映像があればパッと理解できますよね」

映像で、身ぶりや表情も含めた活きた英語に触れていれば、こういった場面に遭遇した際も、違和感なく入っていけるだろう。

実際に見る動画については「何度も繰り返し見る必要があるので、自分が大好きで、興味のある分野の動画がいちばんです」と田畑氏は語るが、「アニメはNG」だという。一見内容が理解しやすく、英語も易しめに思えるが、デフォルメされた高い声やキャラクター特有の口調などのせいで、リスニングしにくいことが多いという。

「特に英語学習者の中で人気があるのはアメリカで人気のシチュエーションコメディードラマ『フレンズ』。いわゆるドタバタ系のコメディーで、登場人物も感情をハッキリ出すので、どのような意味合いなのか理解しやすい。1話20分くらいなので、繰り返し見るのにもぴったりです」

そのほかの田畑氏オススメのタイトルが挙げられている。どれを見るか迷う場合は、これを取っ掛かりにするのもいいだろう。

ただし、動画による学習はあくまで副次的なものであり、動画のみで英語をマスターするのは難しい。日頃の学習があってこそ、動画が効果的だということは忘れないでおこう。

田畑翔子
言語教育情報学修士
米国留学を経て、英語教育について研究。TESOL(英語教育国際資格)を保持。恵学社立ち上げ時より、英語科の責任者として参画。