「人手不足」と「本部との対立」は分けて考えるべき

同時に、コンビニ業界全体で過度な長時間労働のあまり、健康が阻害されるケースなどが頻発しているとは言いづらい。政府は、人手不足の問題と、コンビニエンスストアビジネスにおけるフランチャイザー(本部)とフランチャイジーの意見対立を、明確に分けて考えなければならない。

まずは、企業が人手不足などへの対応に責任を持つべきだ。コンビニ各社は自主的な取り組みによって、店舗オーナーの納得を得なければならない。政府は、その取り組みを見守ればよい。政府は、必要に応じて省人化技術の導入支援や規制の緩和などを行い、民間の取り組みをサポートすべきだ。

政府が人手不足の中で不満を募らせる加盟店に配慮するなどし、頭ごなしに本部に行動計画の策定を求めるのはお門違いだ。その姿勢には、違和感を覚える。

セブンで営業時間短縮に踏み切る店が出てきたワケ

セブンイレブンでは人手不足への対応が遅れ、オーナーが本部と対立してしまった。

加盟店オーナーは、人手不足により店舗運営が難しくなることに不安を強めた。彼らは、本部に24時間営業の見直しなどを求めた。しかし、本部は要望に応えられなかった。本部の対応の遅れこそが、オーナーが不安と不満をため込んだ原因だ。

オーナーらは、どのように人手不足に対応すればよいか、明確な指示がほしかった。それがなかったため、営業時間の短縮に踏み切らざるを得ないオーナーが出てしまった。契約違反までしなければオーナーは生活を守れなかったのだろう。これは同社にとって、かなり深刻な問題だ。

セブンイレブンはより早い段階で対策を打てたはずだ。経営者が24時間営業の意義をオーナーに説明し、共通する問題を把握していたなら、事態はここまで深刻にはならなかっただろう。

セブンイレブン経営陣は何を目指すべきか、はっきり理解していなかったのではないか。それはビジネスモデルの安定性、持続性にかかわる問題だ。見方を変えれば、同社は中興の祖である鈴木元会長の後継者を確保できていなかった。経営者の理解不足が対応の遅れを招いた。オーナーがその状況にいらだつのは仕方ない。