コンビニ業界は「人手不足」に自力で対応すべき

深刻化する人手不足もあり、コンビニエンスストアの24時間営業が岐路に立たされている。

2月、コンビニ最大手セブン-イレブン・ジャパン(セブンイレブン)では、大阪府の加盟店オーナーが、本部の合意を得ずに営業時間を短縮した。この対応を巡って本部とオーナーが対立し、他のオーナーも本部批判に回った。混乱の責任を取って社長が交代した。

他のコンビニエンスストアでも人手不足は深刻だ。それを受け、政府は、コンビニ業界に行動計画の策定を求めた。これは政府が、民間企業の経営に介入したことを意味する。

短縮営業の実証実験で店を閉めた後、早朝に再び営業を始めたセブン-イレブン本木店=2019年3月22日午前、東京都足立区(写真=時事通信フォト)

ただ、人手不足が原因となり、コンビニ業界において深刻な社会問題(人手不足による店舗閉鎖や過労問題などの増加)が発生しているわけではない。コンビニ業界は、人手不足に自力で対応すべきだ。政府が口をはさむべき状況ではない。

コンビニ各社は、今後のビジネスモデルを真剣に考えるべき局面を迎えた。各社には、人手不足という危機を、持続的成長に向けた取り組みを進める“チャンス”に変える発想が求められる。

加盟店オーナーが苦境に直面していることは明らか

3月26日、経済産業省が『コンビニ調査2018』を公表した。これは日本フランチャイズチェーン協会に加盟する8社の加盟店オーナーを対象とするアンケート調査だ。アンケートの結果を見ると、コンビニ加盟店オーナー(フランチャイジー)が直面する苦境がよくわかる。

目立ったのが、人手不足に危機感を持つオーナーが増えていることだ。前回2014年度調査では、人手が不足していると回答したオーナーは全体の22%だった。今回の調査では人手不足を指摘する回答が全体の61%と約3倍に跳ね上がった。加えて、本部の運営方針に不満を感じているオーナーも増えている。具体的には、本部に対して利益配分の見直しや人手不足への支援、オーナーの裁量による店舗運営を求める声が上がっている。契約を更新したいという回答は50%を下回った。

政府はこの状況を、かなり深刻に受け止めた。コンビニは地域社会に重要な役割を果たしている。加えて、政府は働き方改革に取り組んでいる。理由は、人手不足の中で企業の成長を実現すると同時に、就業者のワークライフバランスを向上するためだ。政府はコンビニ業界の業務実態を改善すべく、民間企業の経営に口を出し始めた。