ビッグマックという世界中で流通する同一商品をもって、同じ時間あたりで購入できる数を比較すると、賃金と物価に関するいくつかの側面が見えてくる。

第1に、モノの値段が高いということ。たとえばコペンハーゲンやオスロでは、賃金そのものは世界の主要都市で最も高い部類だが、1時間あたりで購入できるビッグマックの数は3.3個に止まっている。これは賃金に対して物価水準が高いことを意味している。

第2に、賃金水準そのものが低いこと。当然ビッグマックなど「高根の花」ということになる。これは、月給のランキングで下位の都市ほど、1時間あたりで買えるビッグマックの数が少ないことから説明できるだろう。

そして第3に、為替レートの問題。これだけ個数が違うということは、各国通貨の購買力の差が表れているとも考えられる。日本では6個も買えるのに、コペンハーゲンやオスロでは3.3個しか買えないということは、それだけ円が過小評価されているということだ。

※2006年UBS調べ。<br>
ビッグマックの個数:平均的な労働者が1時間働いた時給で買える現地価格のビッグマック個数を算出した。<br>
世界の月給:時給から算出した推計値を使用。実質月給とは平均月給から税金と社会保障費を控除した金額。


 ちなみに、英国の経済誌エコノミストが今年7月に発表した「ビッグマック購買力平価」によると、日本で購入するビッグマックの価格は、多少の地域差があるにしても、1個あたり280円前後。これに対して台湾は267円、中国196円。これらの国は、日本から見れば物価が安いということで納得できそうだが、欧州各国になると、たとえばノルウェーが851円、スウェーデンが687円、スイス685円というように、軒並み円建て価格が暴騰する。製造コストの差による違いもあるだろうが、一方で、円が各国通貨に対して下落していたという事実にも目を向ける必要があるだろう。

そう考えると、1時間という労働時間で、東京では6個のビッグマックが買えるのに、欧州地域では多くの都市で3個しか買えないという差の意味がわかってくる。ユーロをはじめとして、欧州通貨はここ数年、円に対して大幅高となっていた。一方、ロサンゼルスやシカゴは、東京とそう変わらない。これは、円と米ドルがほぼ適正水準でバランスしている一方、ユーロをはじめとする欧州通貨が過大評価されていたことを意味する。

サブプライムローン問題を機に、世界景気や為替レートは荒れている。ユーロも対円で暴落状態だ。今後の為替レートの推移にもよるが、09年の同調査結果では、相当大きな変化が見られるだろう。