▼100%通じるワンフレーズの裏ワザ

スティーブ・ソレイシィ
アメリカン大学卒業。スピーキングを中心とした実践的な英語コミュニケーションの指導に携わる。2018年4月から新開講のNHKラジオ「英会話タイムトライアル」の講師も。『簡単なのにぐいぐい話せる裏ワザ英会話』をはじめ著書多数。

私は1990年8月に初めて訪れた日本が大好きになり、それ以来、日本で英会話コーチや教材づくりに携わってきました。そのなかで、学生、社会人に関係なく英会話がなかなか上達しないのを見て、ずっと心を痛めていました。特に気になったのが、まず「英語が出てこない」「会話が続かない」という問題です。

初めの頃は、「日本人はシャイだから、話すのが苦手なのでは?」「いや、真面目だから、失敗するのが怖くて話せないのでは?」などと考えていました。やがて日本の英語教育の実態を知るうちに、大学入試やTOEICなどの受験向けの英語学習法が原因だとわかってきたのです。

たとえば、日本でTOEICを受験する人の約98%は、リスニングとリーディングのテストを選びます。その筆記試験には、大学入試と同じく穴埋め式の問題がたくさん出るので、そうした問題を解く練習を重ねます。その結果、英文を組み立てるとき、頭のなかの辞書から「正確な英語」を探して当てはめようとする、思考パターンが染み付いてしまいます。そして、英語でたった一文を作るのにも、大変苦労するのです。

英語のコミュニケーションで大切なのは、文を連続させたり、相手と言葉のキャッチボールを何往復かすることです。でも、初心者は何から始めたらいいのか悩んでしまう。そこで私がお勧めしているのが「言い換え上手」になることで、その初歩であるジェスチャーを交えながら、応用範囲の広いフレーズを活用する“裏ワザ”をご紹介します。

ひと言で伝わる、ざる蕎麦の食べ方

外国人の観光客に、道順を英語で尋ねられたら、目的地の方向を指差して「It's that way(そちらのほうにあります)」といえば、目の前の横断歩道を渡ることなど、いろんなことを伝えられます。その後に何か詳しい情報を伝えたいのなら、たとえば「It's 10 minutes from here(ここから10分ほどです)」などと、短く文を足していきます。

また、ざる蕎麦の食べ方を尋ねられたら、「つゆは英語で何ていうの?」ではなく、「Like this(こうやって)」といいながら、箸で蕎麦をつまんでつゆにつけ、食べて見せればいいでしょう。相手に一発で伝わり、真似するはずです。

「May I have~?」は、相手に何か頼みごとをするときに役立つ“万能表現”です。その後に続く言葉が、頼みごとの目的を指します。レストランで「May I have a menu?」といえば、店員がメニューを持ってきてくれます。「Menu, please」という表現は、場合によってやや失礼に聞こえます。相手に確認を求めるときは、確認したい内容の後に付加疑問文で難しくするよりも、「~,right?」をつけます。「You,re Michael, right?」といえば、相手の名前の確認になります。

また、何か問題や体の不調があったときは、「I have a problem」の後に、問題の対象を示す言葉をつけます。「I have a problem here(ここの調子がおかしい)」といってこめかみを指差せば、そこが痛いことを伝えられます。一方、「work」は「動く」「使える」といった意味にもなる“万能動詞”。「This smartphone works(このスマホは通信可能です)」といった使い方もできます。

1つでもいいですから自分の得意表現として徹底的に使いこなしてみてください。そうすると英会話が楽しくなっていくでしょう。