小室 その背骨グラフの傾きがフラットになってない部門には、仕事に偏りがあったり、仕事を渡せない人がいたりするわけですね。

曽山 そうです。背骨が平らになるように、「仕事の棚おろし」をするのです。上司が会食などで夕方以降、職場を離れていて部下の帰宅時間を知らない職場では、背骨の傾きをチェックすることで、現場の誰が「渡せない人」なのかすぐにわかるので重宝がられています。

小室 上司が部下の勤務の実態を把握してないから、残業が減らないということもありますからね。

勤務時間の平準化を見えるようにする

<strong>曽山哲人</strong>(サイバーエージェント取締役人事本部長)
曽山哲人(サイバーエージェント取締役人事本部長)

小室 サイバーエージェントさんの場合は、みなさんが生産性を上げているので、勤務時間の長い人、イコール仕事を抱えすぎている人、と考えられますよね。でも、他の企業で、特に長時間の残業が習慣化してしまっているところでは、背骨グラフで高いところにいる、退勤時間の遅い人は「効率の悪い人」という可能性もあると思います。

曽山 それ、当社でも一緒ですよ。もちろん仕事がしたくて長時間かけて、より大きな成果を出す人もいることを前提に、短時間で成果を上げている人もいれば、同じ仕事で長時間かかる人もいます。まちまちです。

小室 そういうときはどうするのですか? 仕事の効率が悪くて勤務時間が長い人にも、「仕事の棚おろし」をしてもらうと……。

曽山 いや、これは別の角度から見ています。平均帰宅時間を見ると、いつも残業している「常連さん」がいるものです。彼らの仕事のやり方を上司に意識させるようにします。「人が足りないって言うけど、そもそも、この常連さんたちの仕事のどこに問題がありそうだろうか?」と、あえて突っ込むときもあります。

もしPCスキルの差で勤務時間に差がついていて、背骨グラフのバランスが悪くなっている場合には、スキルアップの研修費用を使えるようにするなどの対応をとります。