「とはいえ、歯周病を予防し、治療する、最も効果的な方法は、やはりブラッシングです。デンマークの歯周病学の教授の実験では、12人の学生を10日間ほど、歯磨きさせないでいると、全員に歯肉炎の発症が確認されました。そしてブラッシングを再開したところ2~3日で、もとの健康な歯肉に戻ったのです。プラーク(歯垢)は水や薬液洗浄では除去できません。歯ブラシでしっかり磨き落とす必要があります」(小西さん、以下同)

※写真はイメージです(写真=iStock.com/bowdenimages)

プラーク内に繁殖する歯周病菌は、酸素を嫌う嫌気性菌である。歯周ポケットが深くなり、プラークが除去しにくい場合でも、突っ込み震わせ磨きで、歯周ポケット内をブラシでかき回し、空気を送り込むイメージでブラシを動かすのが効果的だ、と小西さんは言う。

「ブラッシングの原則は『痛くせず』『出血させない』です。ブラッシングのタイミングや回数にはこだわらなくてもいいのですが、理想は朝と晩にフォーンズ法、突っ込み震わせ磨きをそれぞれ5分ずつです」

1回5分は長いと感じるかもしれないが、入浴時、湯船に浸かっているときなどを利用するのもいいだろう。

▼歯周病を予防するブラッシングの方法
「痛くせず」「出血させない」のがブラッシングの原則。毛の柔らかな歯ブラシを使う。歯磨き剤は使わなくていい。歯肉に炎症がある場合は「突っ込み震わせ磨き」が有効。この場合、2列の歯ブラシが使いやすい。
【フォーンズ法】
上と下の前歯を噛み合わせ(イーという表情になる)、歯ブラシを直角に当て、大きな円を描くように歯と歯肉を磨く。裏側も歯だけでなく、歯肉や上あごも血行をよくするマッサージをしているつもりでゴシゴシと。力強く磨くために、歯ブラシはパームグリップ(5本の指で棒をつかむ要領)でしっかり握る。
【突っ込み震わせ磨き】
歯と歯の間に歯ブラシの毛先を45度の角度で押し当て、歯ブラシを1ミリくらいの細かい幅で水平に震動させる。ブラシを当てる場所は歯と歯肉の境目。歯を磨くというよりも、歯周ポケットに毛先を突っ込み(痛くない程度に)、歯周ポケット内をかき回し空気を送り込むイメージ。歯ブラシは鉛筆を持つようにつかむ。痛い、出血する場合は、歯ブラシを寝かせて磨く。