「一般の人」が発信する内容は実用的

効率的にSNSで情報を収集している彼女たちだが、その後もっと詳しい情報を知りたいときはブラウザで検索するという。グルメなら店舗の場所、ファッションなら価格やサイズなど、ウェブサイトでないとわからないことも多い。

また、そのカテゴリ専用のアプリも利用する。ファッションやコスメの場合、彼女たちは一般の人が発信する言葉や画像を重要視している。アルバイトをしているかどうかにもよるが、基本的に女子高生は自由になるお金が少なく、堅実派だ。ファッションは一般の人が着こなしを投稿している「WEAR」、コスメは商品の感想を投稿できる「LIPS」などで情報を集める。

こうしたアプリには、手頃な価格のファストファッションブランドや100円均一ショップで販売されているコスメの情報もあふれている。テレビや雑誌で取り上げられることが少ない情報が手に入るのだ。さらに、情報を発信しているのは顔が整っているモデルや、どんな服でも似合うタレントではない。自分が身に着けたときにどうなるかが想像しやすいというメリットがある。

少し逸れるが、フリマアプリ「メルカリ」の人気も口コミに由来する。その商品を持っていた人に直接質問ができる点が安心感につながっているのだ。もちろん、10代でも気軽に出品や購入ができるシステムも人気の理由だが、ネット上のやりとりで商品の色やサイズが確認できることがありがたいそうだ。

情報は「スクショ」で保存して通信量を節約

こうしてチェックした情報は、どのように保存するのだろうか。それは「スクショ(スクリーンショット)」だ。アプリやサービスの「お気に入り」機能を利用することもあるが、情報はスマホの写真アプリに集約された方が見返しやすい。

ウェブサイトをブックマークするのではないのか、と驚く人もいるかもしれない。しかし、自分の知りたい情報だけを取っておきたい場合、いちいちウェブサイトにアクセスして該当ページを開くよりも、見たい箇所だけを撮影しておいた方が速い。また、女子高生は毎月のデータ通信量が足りない人も多いため、画像で保存した方が通信量の節約になるのだ。

また、彼女たちのほとんどは、オンラインショップではなく、実店舗で実物を確認して購入することも理由のひとつだ。10代はクレジットカードを持てないからだ。「色や素材を自分の目で確認したいから」と言っていた女子高生もいた。どうせ実店舗に行くなら、ショッピングサイトのリンクもいらない。店舗でスクショをサッと表示し、「これを探している」と店員に伝えればいい。

このように、女子高生たちは賢くSNSで情報を収集し、失敗を少なくするための消費活動を行っている。これから彼女たちが社会人になり、その鋭い目で情報を取捨選択すると思うと、販売側は気を引き締める必要があるのかもしれない。

鈴木 朋子(すずき・ともこ)
ITライター/スマホ安全アドバイザー
メーカー系システムインテグレーターのSEを経て、フリーのITライターに。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。10代が生み出すデジタルカルチャーを追い続けている。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など多数。http://tomoko.chu.jp/
(写真=iStock.com)
【関連記事】
バカッターが発生する9つの理由・決定版
なぜ学校は"スマホの怖さ"を教えないのか
都心で急増する"金遣いの荒い若者"の正体
早稲田を出て2カ月で警察官を辞めたワケ
頭のいい人がまったく新聞を読まないワケ