「何か上から偉そうなことをいろいろ言われても、この人たちが頑張ってつくった日本って、結局この程度じゃん。これが本音ですね。上の世代の人たちは、生産性もなく、努力もしていないように見える。会社や社会で最後までおいしい思いをして、後の世代のことは知ったことじゃないというスタンス。

まさに『逃げ切り世代』ですよね。逆に僕らの世代だと『やばいぞ、このままじゃ年金なんてもらえないぞ』といった様々な危機感を感じているので、何かを生み出したり変えようという努力をしている。でも上の世代にはそういう意欲が見えない。そこに温度差を感じます」

それは「あなたの人生がつまらなそう」だから

ゆとり世代は言うことを聞かない、などと言われるが、当然のことだとNさんは続ける。

「変える意欲がないということは、変わるつもりもないということ。既存の価値観を壊す勇気がないんですよ。経済が右肩上がりの時代の成功体験をひけらかしながら、『俺のときはこうだった。お前はなんでできないんだ』なんて時代背景の違いを何も考えず押し付けてこられても、困りますよね」

そんな正直な本音を聞いたうえで最後に、どうすればゆとり世代が言うことを聞くのだろうかと質問すると、Nさんは痛烈な言葉で締めくくった。

「鏡に映る自分を見て、人がついてくる人間なのか問いかけてみたらいいんじゃないですか。言い方や振る舞いじゃなく、生き方ですね。あなたの人生がつまらなそうだから、ゆとり世代はあなたから離れていくんじゃないかと思います」

ゆとり世代への「価値観の押し付け」によって、やむなく退職までしたケースもある。大手インフラ会社に勤めていたAさんは、自身が妊娠・出産を経た後も仕事を続けるつもりだった。だが願いは叶わず、さらに「ゆとりだから」というレッテルまで貼られた。

「子供の送り迎えもあるのに片道2時間近い通勤時間は正直キツく、異動願いを出したのですが、何年経っても受理されることはありませんでした。通常は子育てをしている人には職住近接になるよう配慮してくれますし、3年に1度は異動があるのが一般的な会社だったのに、9年も異動させてもらえなかったのです。そのうち上司は『僕らの頃は子供を置いて単身赴任までしていたよ』『まわりはもっと大変な人がいるのに、ゆとり世代は我慢できないの?』と、コンプライアンスに引っかかるようなことまで言うように。どうしようもなくなって、退職することを伝えると、慌てて『会社のせいではないよね?』と詰め寄られ、退職を踏みとどまるよう説得されました。家庭や生活もあるので次の職を見つけていたことを伝えると、突然安心したように『やっぱりね。ゆとり世代はすぐ夢を追うから』と。もう怒りを通り越して呆れてしまいました」