この特別料金が2016年4月から義務化され、現在は特定機能病院や一般病床400床以上の地域医療支援病院などの大病院では、緊急やむをえない場合を除いて、紹介状なしで初診を受ける場合は5000円(歯科は3000円)以上がかかるようになっている。また、家の近所のクリニックなどを受診するよう大病院から紹介を受けても、患者が引き続き大病院の受診を希望する場合は、再診でも2500円(歯科は1500円)以上かかる。
「紹介状を書いてもらうには診療情報提供料という費用が2500円かかりますが、健康保険が適用されるので、患者の自己負担は750円(3割負担の場合)ですみます。それに、紹介状があれば優先的に診療を受けられるため待ち時間が短くなる、病状や診察内容が伝わる、検査の重複が少なくなるなど、トータルで見ると経済的にも時間的にもお得です」(早川氏)
紹介状があると、扱いもよくなる
では、行きたい病院があったり診てほしい医師がいた場合、「○○先生に紹介状を書いてもらいたい」と患者の側から医師に申し出てもいいものだろうか。高崎健康福祉大学准教授の木村憲洋氏は「要望があるなら伝えてもかまわない」と語る。
「かかりつけ医に病院名と医師の名前を伝えれば、たとえ深い繋がりがなかったとしても紹介状を書いてくれます。ただ、有名な医師だからといって、むやみに患者の側から指名するのではなく、かかりつけ医には行きたい病院名だけを伝えたほうがいいと思います。自分の病気がその有名な医師の専門であるかどうかは、素人にはなかなかわからないものだからです」(木村氏)
紹介された医師は、紹介元の医師に経過を報告するのが通例だという。そのため、病院を訪れた際の扱いがよくなるというメリットもあるようだ。金銭面だけではなく、何かと利点の多い紹介状。できるだけ活用しよう。
結論:行きたい病院があれば、かかりつけ医に伝える
フリーライター
女性週刊誌やマネー誌を中心に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を手がける。著書に『読むだけで200万円節約できる!医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』。
木村憲洋
高崎健康福祉大学 健康福祉学部准教授
神尾記念病院を経て、現職。共著に『2018-2019年度版イラスト図解 医療費のしくみ 診療報酬と患者負担がわかる』『病院のしくみ』など著書多数。