普通の努力家が「超富裕層」になれた3つの要因

幼少期、僕の物語はまるでアメリカンドリームの映画のように展開した。僕はノースカロライナ州の小さな町の中流階級の家庭に育った。勉学に励み、奨学金を得て有名な進学校に通い、ハーバード大学へ進んだ。2年生のときにルームメイトとフェイスブックを立ち上げ、この会社とのちのオバマの選挙キャンペーンでの成功で、持ち上げられたり叩かれたりした。

フェイスブックのIPO(新規株式公開)で莫大な資産を手にした。出世の階段を駆け上がり、与えられたすべてのチャンスをものにした。そして僕はとても幸運だった。幸運といっても、マーク・ザッカーバーグのルームメイトだったことだけじゃない――それよりずっと大きな力が働いていた。

過去40年間にアメリカで下されたさまざまな経済的・政治的決定が、「1%の人たち」とひとまとめに呼ばれる少数の幸運な人たちに、空前の富をもたらしている。この国は、グローバリゼーション、急速な技術進歩、ファイナンスの成長という3つの強力な経済発展の要因を生み出し、支えてきた――この3要因が、ラリー・ペイジやジェフ・ベゾスなどの大富豪の台頭をもたらしたのだ。

3年間の労働で500億円以上稼げる異常さ

僕らの会社が寮仲間のアイデアから数千億ドル規模の資産をもつまでに成長したのは、アメリカが爆発的成長を生み出す豊かな環境を企業に提供しているからだ。グーグル、アマゾン、フェイスブックが極端な例だとしても、そうした企業が少数の選ばれし者にもたらす莫大な富は、世間で考えられているほどまれなものではない。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Andrei Barmashov)

アメリカの不平等は、いまや世界大恐慌が始まった1929年以来最悪の水準に達し、今後も悪化の1途をたどると見られる。巨大企業と富の集中を生み出したまさにその環境の下で、労働者は経済機会から本来期待できるはずの利益をますます得にくくなっている。

データによれば、アメリカ人は以前と変わらず勤勉に働いているのに、暮らし向きはまるで楽になっていない。ほとんどのアメリカ人が、自動車事故や入院などの、たった400ドルの緊急出費も捻出できないのに、僕は3年間の労働で5億ドル(約550億円)を手にした。そんなことが可能になる社会はどこかが根本的にまちがっていて、それは解決されなくてはならない。