ファミリー層をターゲットにした戦略が功を奏した
串カツ田中のNPSは、マイナス39.2%でした。マイナスと出ていますが、日本では多くの産業でマイナスに出る傾向にあり、外食店舗のNPSはマイナス40前後が平均です。そう考えると、串カツ田中の愛着度はそこまで高くありません。
男女別でみると、男性のNPSはマイナス43.4%、女性はマイナス34.6%と、女性のほうが10ポイント近く愛着度が高いことがわかります。
このことは、串カツ田中のファミリー層をターゲットにした戦略が功を奏しているといえるでしょう。例えば、串カツ田中では、子どもが店員とじゃんけんして勝てばジュースが無料になったり、アイスクリームもサービスでもらえたりします。そのほか、たこ焼きを自分で焼くことができ、ポテトサラダはすり鉢でポテトをつぶして手作りします。子供をよろこばせる仕掛けが満載なのです。
調査結果の詳細を見ると「店員の感じの良さ」がNPSの押し上げ要因になっています。調査アンケートの回答者からも「店員が元気で気持ちがいい」「接客態度が良かった」といった好評の声が相次ぎました。これもまた、子どもをよろこばせたいという母親目線に起因することと思います。
それではなぜ、男性のNPSが低いのでしょうか。その答えのヒントは全面禁煙化にありそうです。
いまだに「飲みとたばこはセット」と考える人は多い
「禁煙・喫煙スペースの有無」については串カツ田中のNPSを押し下げています。日本では喫煙者が年々減っている傾向にはありますが、まだ「飲みとたばこはセット」と考える人は多いのでしょう。
回答者からは、全面禁煙化によって「子どもを連れてきやすい」という声もある一方で、「タバコを吸えないのは嫌」といった声も見られました。全面禁煙化はプラスにもマイナスにも作用にしています。ただ、2つの意見をかけあわせるとマイナス要因が多くなっています。
居酒屋の全面禁煙化は画期的な取り組みで、非喫煙者が増えている中では時代を先取っているように感じられます。一方で、依然として喫煙できることが居酒屋を選ぶ基準であるという意見もあり、時代の流れの中で全面禁煙に対する捉え方がどの様に変化していくのかは注目です。