「代行」頼みで出費激増、キャリアアップへのあせりが家計を圧迫

美紀さんがフルタイムとなった後、3つの費目について支出が大きく増えていました。教育費、食費、家事代行です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/scyther5)

教育費(月14.5万円)は民間の学童保育に小3と小1の子を週5日通わせている費用で、勉強を見てくれて、希望すれば夕食も出ます。「お送り」サービスも利用できるため、高額でも子どもによい環境を与えられると思い、利用しています。

食費(月9.6万円)は、学童の夕食制度を利用することもありましたが、できるだけ家族での食事を大切にしたいという思いから、「夕食食材の宅配サービス」を利用したり、ネットスーパーでの買い物が多くなったりし、比較的高めとなっていました。

家事代行(3.8万円)では掃除や洗濯、買い物などを、週に1~2回のペースで依頼しています。

「子育てをしながらフルタイムで働く女性の必要経費だと思うんです」という美紀さんは、これらの出費について「仕方ない」と考えている様子です。確かに、仕事、家事、育児のひとり3役を毎日続けていくためには、誰かに代行してもらうために「お金で解決する」場面も出てくるでしょう。

働く時間が増えたことで「必要経費」が無限膨張

しかし、残業や出張で忙しく働き収入は増えても、これまで順調に黒字だったものが「赤字」になるとは、残念なことです。

私はほかにも家計を圧迫している費目がないか、さらに話をうかがっていきました。すると、やはり浪費がありました。

「働いていると、交際費もかかるし、こまごまと出費するから」という理由で、美紀さんのこづかいが当初2万円だったものが6万円に大きく増加していることがわかったのです。

主な使い道は、会社の同僚や仕事関係の人との飲み会代や、残業時のおやつ代、出張時の交際費など。美紀さんは出産・子育ての期間中に「キャリアの面で後れをとった」と感じていて、その穴を埋めるべく、同僚たちとの交流に出かけ、仕事のことの情報を得たり、信頼関係を深めたりということにお金を使っていたのです。

そして、それを実現し続けるために、家事や子育てを、お金を払って「代行してもらう」ことにつながったようです。